「ミックマック」

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久々に面白かったフランス映画は、あの「アメリ」の監督、
ジャン=ピエール・ジュネによる、2009年公開のものでした。
題名となっている「ミックマック」の意味は、“幸せのイタズラ”で、
副題として、「世界が幸せでありますように」と書いてあります。
なんだかよくわかりませんが、なんとなく面白そうな匂いがして、
観てみたら、これが実におしゃれで最後まで飽きずに楽しい!

フランス映画に特徴的な、独特なユーモアやエスプリが利いていて、
人生を常識的な表舞台だけでなく、地下や裏から風刺的に観る視線もいい。
なにしろ主人公が、父親を地雷でなくして孤児院に入れられたバジルですが、
青年となってパリで店員をしているところで、事故で頭に銃弾を受けてしまう。
その銃弾を頭から取り出せないまま、廃品回収の仲間と暮らすのですが、
あるとき、父を殺した地雷や自分の頭にある銃弾を作った兵器会社を見つけます。

なんとか復讐しようとしますが、一人ではどうしてもうまく行かない。
だけど廃品回収の個性的な仲間が、手伝ってくれることになって動き出す。
その手伝い方もユニークなら、どんな復讐をするかが実にイカしているのです。
廃品回収のがらくたを何にでも改造するプラカールや、大砲人間のフラカス、
発明家のプチ・ピエール、肢体を自由に折り曲げる軟体女のラ・モーム・カウチュ、
何でも即座に計算する女の子カルキュレットなど、見るだけでも嬉しくなる。

このメンバーが手を組んで、二つの兵器会社の二人の社長にイタズラを仕掛けますが、
例えば兵器工場が爆破されるシーンでは、誰も死なないし、ユーモアが溢れている。
計画はすべてが順調に進むわけではないけど、笑わせながらうまく展開して、
兵器会社の悪徳は白日の下に晒され、二度と復活出来なくなるのです。
漫画のような勧善懲悪を、おもしろおかしくやってのけるところは爽快で、
復讐する相手さえ殺さないのも、監督のセンスの良さだと感心しました。

日本では最近、こうした面白い勧善懲悪ものは見かけませんが、
映画を一つのファンタジイと思えば、願いが叶う映画は楽しいものです。
武器の輸出が貿易に大きな貢献をしている、フランスならではの作品ですが、
そういえば日本にも、「東京原発」などの面白い映画はありました。
直接問題提起する作品も大切ですが、悪徳は本来滑稽なものですから、
そのおかしさを引き出す映画を、もっと日本でも作ってほしいものです。
 
 
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