増える永続地帯

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安心安全で豊かな暮らしには、食とエネルギーの自給自立が必要です。
日本では、千葉大学倉阪研究室とNPO法人環境エネルギー政策研究所によって、
都道府県別の自給率ランキングと、市町村別自給達成率が公開されています。
その資料によれば、日本にはすでに57の市町村が自給率100%を超えており、
倉阪さんは、こうした自治体をエネルギーの「永続地帯」と呼んでいます。

このエネルギーの自給率は、生活と農業に関わる熱エネルギーを含みますが、
これを電力だけで見れば、86もの市町村がすでに100%以上を自給している。
もちろんこれは、小水力、風力、バイオ、地熱、太陽光と言った自然エネルギーで、
再生可能エネルギーだからこそ、諸外国に頼らず持続的に自立できますから、
石油やウランを手に入れるために、自衛隊を海外派兵する必要もない。
いわばこの国の平和と安全のためにも、自給自立は大切な目標なのです。

さらに今回は、食の自給率に関しても同じような調査が進められていて、
エネルギー自給率100%を超える57市町村の内、26市町村においては、
食糧自給率も100%を超えることが、資料として公表されています。
以下にその市町村名をアップしておきます。

•北海道 磯谷郡蘭越町  •北海道 苫前郡苫前町
•北海道 上川郡愛別町  •北海道 虻田郡ニセコ町
•北海道 天塩郡幌延町  •岩手県 岩手郡葛巻町
•北海道 有珠郡壮瞥町  •鹿児島県 出水郡長島町
•長野県 下水内郡栄村  •長野県 南佐久郡小海町
宮城県 刈田郡七ケ宿町 •青森県 上北郡六ケ所村
福島県 河沼郡柳津町  •熊本県 上益城郡山都町
秋田県 鹿角市       •青森県 下北郡東通村
青森県 西津軽郡深浦町 •福島県 南会津郡下郷町
岡山県 苫田郡鏡野町  •富山県 下新川郡朝日町
大分県 玖珠郡九重町  •熊本県 球磨郡相良村
福島県 石川郡古殿町  •熊本県 阿蘇郡小国町
熊本県 球磨郡水上村  •鹿児島県 肝属郡南大隅町

こうした地域に住んでいれば、基本的に生活に困ることはないので、
あとは仕事をシェアすることで、住民は全員が安心して暮らすことが出来る。
これを日本中の自治体で実現すれば、国としても自給自立できますが、
現状はとても自給自立できそうにない、東京や大阪などの大都市があって、
このやっかいなお荷物のために、日本は国としての自立が難しいのです。

さらに言えば、3月の東日本大震災において大規模な停電になったとき、
例えば岩手県葛巻町では、発電能力に何の支障もありませんでした。
実はそれなのに葛巻町も停電になって、畜産などに大きな被害を出しています。
その原因は、発電した電力を自由に使えない電気事業法があるからで、
もともと葛巻町では、以前からもっと発電できる能力があるにもかかわらず、
この買電価格が8~9円なのに、電力会社から買う価格は24円にもなるので、
いくら発電しても、電力会社を儲けさせるだけの骨折り損になるのです。
こんな利権擁護の法律がある限り、日本は脆弱さを克服できません。

そしてこの電力会社が事故になれば、なにしろ一社独占事業ですから、
自治体を含めて地域には何の問題もないのに、停電になってしまうことになる。
こんな馬鹿げた電力会社優先、企業利益優先の利権法律がまかり通る限り、
この国はいつまで経っても自立できずに、衰退していくことになるでしょう。
3.11の福島原発事故を受けて、政府はようやく重い腰を上げましたが、
菅内閣が唯一行った「脱原発」宣言は、政権を崩壊させてしまいました。
この国を牛耳る利権力がいかに強いかを思い知ると共に、このままでは、
やがて利権賊によって、国そのものが滅ぶかも知れないとさえ危惧します。

残念ながら、まったくあてにならない国家機能ですが、地方レベルでは、
それぞれの地域の気候風土に根ざした、自然エネルギーの利用が進んでいる。
さらに地域での食の自給も進めば、大量の物資を遠方から運び続ける、
膨大な輸送エネルギーも減らせるだろうし、他地域に迷惑を掛けることも減る。
東京、大阪と言った、自立できない肥満児を抱えた日本という国は、
地方の自立を積み重ねて、シェイプアップしていくしかないのでしょう。
せめて法律は、電気事業法などの悪法を一掃していただきたい。