源兵衛川の清流

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三島での集合研修では、一日だけ屋外ワークがあり、
いくつかの選択項目の中から、僕が選んだのは源兵衛川でした。
この川は三島市中心市街地にあって、元々は清流でしたが、
1970年代には、生活排水などによってヘドロ化していたとか。
それをグランドワーク三島が中心になって、再生事業を行い、
再び美しい清流になっている様子を見学して、川掃除も手伝いました。

富士の裾野には多くの湧き水があって、この源兵衛川も元は湧き水。
何ヶ所か、実際に湧水している場所も見せてもらいましたが、
その場所がきれいなのはわかるとして、驚いたのはその下流です。
繁華街まで含めた町の中心市街地を縫って、流れる川の水は澄んでおり、
場所によっては、カルガモカワセミの姿も見ることができる。
さらに遊歩道コースの途中では、見るだけでなく川に流れに入って、
水遊びが出来るように、沈下式の石歩道があったりします。

今日紹介した写真は、その源兵衛川の遊歩道を歩いていたときに、
携帯カメラで撮ったスナップ写真ですが、これが町中とは思えません。
ほんの数メートル外側は人家が並んでいて、所々には車道の橋もあるから、
遊歩道は橋の下では、ぶつからないよう頭を下げて通らなくてはなりません。
それなのにこの川面を見ていると、自然の清々しさが伝わってきますし、
小魚が生息しているから、カワセミがそれを狙ってやってくる。

今では中途半端な田舎でさえ見られなくなった、自然の風景ですが、
グランドワーク三島では、それを市街地に市民活動で実現したのです。
こうなるまでには、20年の並大抵ではない努力があったと聞きますから、
ちょっとやそっとの思いつきで、実現できることではないでしょう。
だからこそ、思いを実現するために継続できる体制が必要なので、
今回のグラウンドワークは、そのためのノウハウを学ぶ研修と言えます。
研修後にビジネスプラン・コンペティションがあるのも、そのためでしょう。

冷たい湧水から発して、三島市の町中を流れる源兵衛川の環境は、
企業でも行政でも守る必要がありますが、現に守っているのはNPOです。
そして日本では、このNPO活動に対しての理解や待遇がまだまだ低い。
理解や評価が低い理由は、お金を稼がないからだと言っていいほど、
日本での価値観は、まだお上意識か金銭感覚でしか理解されませんから、
市民活動もちゃんとお金が稼げるように、今回の企画もあるのでしょう。

変わるべきは、市民活動側ばかりでいいのかどうか疑問ですが、
当事者であるNPOスタッフたちは、実際お金の問題には苦慮しており、
これをどう解決するかは、市民意識の目覚めを待ってばかりいられません。
市民意識を変える」努力をするか、「市民活動をビジネス化する」か、
そうでなければ、お金に頼りすぎない日本型スタイルを考える必要がある。
欲に渦巻く生々しい社会に対して、厭世的に隠遁しながら道を追求する、
伝統的なアジアの道は、未来に何をもたらせられるでしょうか。