グラウンドワークの熱気!

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昨年から、内閣府「地域社会雇用創造事業」の一環として行われている、
グラウンドワーク・インターシップの、三島集合研修に参加してきました。
9月13日の記事に書いた四万十川でのOJTや、個別の課題研修と合わせて、
最終的にいくつかの報告書を提出することで、パートナー認定が行われ、
無事に課題を終了すれば、掛かった交通費や宿泊費は後で支給してくれます。

全員集合研修は、このインターシップの中でも基本的な役割を担っており、
NPO「グラウンドワーク三島」が、この研修を引き受けて運営しています。
今回は第Ⅲ期の募集で、これが最後の募集になることから240人程が応募して、
5日間の研修期間は、会場の中ばかりか周辺の温泉街まで活気に満ちていました。
もちろん、どこよりも熱気があったのは研修会場の中で、写真の通り、
全体会場(上)でもワーク会場(下)でも、参加者は熱心に議論していました。

僕は友人から誘われたことで、今回のグラウンドワークに参加しましたが、
三島行ってみると、会場を埋め尽くした人たちの様子は実に多種多様に富んで、
少人数での研修だった四万十川でのOJTとは、まったく様相が違います。
特に今回は学生の参加が多く、150人ほどが大学生や院生だと聞きますし、
20代30代、そして仕事をリタイアされた60代の人も多く見受けられました。
老若男女を問わず、すでに何らかの活動をされている人ばかりでもない、
漠然とNPO等の市民活動に関心を持つ人たちも、多く参加されていました。

この企画をされたグラウンドワーク三島の渡辺豊博さんは、元県庁職員で、
お役所の裏の裏まで知り抜いた上で、役人を辞めてNPOを始められた人です。
役所行政では出来ない、柔軟で迅速な公共事業を市民活動によって実現する、
そんな活動を、イギリスのグラウンドワークから学んで日本で実践されている。
彼は話しぶりもざっくばらんで面白く、さりげない中に深い洞察も含むので、
聞いている内に時間を忘れてしまうのですが、自虐的な揶揄も話される。

今回イギリスから講師として参加された、小山さんやロビンさんによると、
イギリスでは、NPOでも公務員でも私企業でも仕事をすればキャリアになり、
任期である3年~5年ごとに、NPOから公務員への転職も頻繁にある。
あるいはNPOで働くのは、私企業のように時間外労働などしないで、
定時に家に帰って、家族や趣味の世界を大切に暮らす人が選択している。
それでちゃんと生活が成り立つ収入も得られるし、社会貢献も出来るから、
私企業であっても、公共的な社会貢献が当然に求められるのでしょう。

ところが日本では、NPOでの仕事はまったくキャリアとは見なされず、
場合によっては、単なるボランティア活動としか見なされない場合も多い。
だから少ない収入で頑張るしかない市民活動は、活躍できる機会も少なくて、
それなりの成果を上げるには、無休無給の奮闘努力が求められてしまうようです。
同じ年代で、同じ大きな成果を上げられた渡辺さんと、ロビンさんを比べると、
ほとんど家庭を顧みられなかった渡辺さんに比べて、ロビンさんは家庭を重んじ、
すでに仕事もリタイアして、悠々自適に家族との時間を過ごされている。
この違いこそ、日本が市民民主主義国になれない原因かと思われるのです。

渡辺豊博さんは、自らの生活を振り返った自戒の念を込めるかのように、
これまで成し遂げた成果の自負と共に、特に学生などの若い人に対しては、
まず就職して仕事を覚えることを勧め、家族を大切にするように勧めるのです。
それは今の日本で、公共を重んじる市民活動がいかに経済的に恵まれないか、
苦労ばかりが多くて、報われることの少ない仕事であるかが込められており、
なおかつ、それでもやらなければならない使命の大切さも伝えられていたのです。
研修内容の詳細はともかく、研修を終えてそんなことを考えさせられました。