主戦場は「食」へ

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戦後支配の中で、軍事から経済、そしてエネルギーへと、
主戦場を変えながら、日本支配を強めてきたアメリカですが、
いよいよ「食」への戦火が、切って落とされようとしています。
世界中で除草剤耐性を持つ作物をばらまき、除草剤を売り、
あるいは害虫抵抗性を持つ作物をばらまき、除虫剤を売る。
本来の自然環境を破壊して、農薬と作物の独占を目指す戦略は、
原発震災で疲弊した日本をターゲットに、承認申請が始まりました。

現在農林水産省へ、使用などに関する承認申請が出されているのは、
◆ セイヨウナタネ(除草剤グリホサート耐性)モンサント社
◆ トウモロコシ(除草剤アルリオキシアルカノエート系耐性)ダウ・ケミカル
◆ トウモロコシ(害虫コウチュウ目ほか抵抗性)シンジェンタ
◆ ビマワタ(除草剤グリホサート耐性)モンサント社
以上の4件があります。

農水省では、
「これらの審査に当たっては、カルタヘナ法、標準手順書等に基づき、
 生物多様性影響評価を行いました。学識経験者からは、承認申請のあった
 第一種使用規程に従って使用した場合に、生物多様性への影響がある可能性はない
 との意見を得、この結果に基づいて生物多様性影響が生ずるおそれはないと判断」
として、承認に先立っての意見・情報の募集(パブリックコメント)を始め、
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/110523.html
これが終われば、モンサントは合法的に遺伝子組み換え食品の栽培を始めます。

その結果がどうなるかは、すでに世界中の各地で実例があり、
カナダ、アルゼンチン、インドなどでは、裁判闘争になっています。
これらの闘争は、必ずしも健康被害からではなく、多くは経済的な理由で、
当事物件の遺伝子組み換え食品が、周囲の作物と交配した場合に、
知的所有権によって、違法栽培とされることが一番の争点のようです。
すなわち、自然界にあるはずがない耐性を持った作物が栽培された場合に、
その作物は、モンサント社知的所有権を持っていると言うもので、
彼らが戦略を立てている主戦場は、裁判所になるかも知れません。

日本では食品の安全性を問題視して、反対される場合が多いのですが、
これも簡単に証明されることではないし、むしろ安全だと審査されることは、
その審査に従って企業が開発したものだから、当然の結果なのです。
問題は破壊される自然環境がもたらす、その後の生態系と作物への影響で、
大量に使用される農薬によって、自然界の生き物のバランスが崩れたときに、
それこそ「想定外」の事態が起きる可能性の高いのが自然界だから困るのです。
遺伝子組み換え作物で日本の自然体系がどうなろうと、彼らは責任を負わず、
この作物が日本中に広がった場合に、その利益はモンサントが得るのです。

決められたお役所仕事しかできない農水省の役人が、そこまで考えずに、
企業の都合いいように作られた手順書に従って、申請を承認してしまえば、
あとはモンサントの好き放題で、日本の食を食い荒らすことになるでしょう。
実際にそうした問題が起きるのは、もう少し先の話ではありますが、
申請を承認するかどうかの時点で押さえておけば、同じ承認でも違ってきます。
企業に都合のいい想定だけで安全を認め、承認してしまうことの恐ろしさは、
すでに原発で学んだはずなのですから、ここは簡単に承認させたくないのです。

しかし遺伝子組み換え食品が、単に事務手続き的に承認されてしまうなら、
また一つ日本は敗北し、子どもたちの未来に痛手を背負わせることになるでしょう。
たぶんそれも、政府や経済産業界の人たちは、因果関係を認めないでしょうが・・・
今はまだ流通・販売しか認められていない、遺伝子組み換え食品が、
栽培まで認められてしまった場合の問題は、あまりにも大きいのです。