「いよいよローカルの時代」

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明後日の映画「幸せの経済学」の公開に合わせて、
ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんと、辻信一さんの対談本が、
大月書店から出版されたので、さっそく読んでみました。
ヘレナさんの本は、彼女を世界的に有名にした「ラダック」を読んで、
とても感動した記憶があるのですが、その後は読んでいません。
それでも「懐かしい未来」が映画化されたときは、真っ先に買って、
今までに何度も、勉強会で上映させていただいたいます。

そうした思い入れがあって、この映画「幸せの経済学」は、
迷わずに、自分で上映会を開きたいと思っていた作品なのです。
ちょうど「協働のまちづくり条例」作成市民会議の勉強会としても、
最適の映画と思って、今回は勉強会の一環として意味もあります。
上映会では、出版元の大月書店から書籍販売の依頼があり、
今回は10冊を送っていただいて、販売することにしたものですが、
昨夜から今日にかけて、一気に全部を読ませていただきました。

この本は辻信一さんの「ゆっくりノートブック」シリーズ5作目で、
本の帯に「ゆっくりノートブックは懐かしい未来のための備忘録」
と書いてあるとおり、ヘレナさんの押し進める「ローカル化」とは何か、
とてもわかりやすく、対談形式で書かれてあるものです。
内容は3章立てで、

第1章 「懐かしい未来」の発見
  ここではヘレナさんがどうしてラダックへ行くようになったか、
  彼女の生まれ育った環境から、様々な出逢いの様子を話しています。
  興味深いのは、イヴァン・イリイチやE.F.シュマッハーなど、
  僕と同じ人に大きな影響を受けて、考えを進めてきたことでしょう。
  ただ僕はあまり知らなかったのですが、「Small is Beautiful」の考えは、
  90年代に入って、環境運動までグローバル化に方向転換してしまい、
  その後再びローカルが見直されるまでに、十数年掛かったと言うことです。

第2章 世界に沸き起こるローカルフード・ムーブメント
  ここでは映画でも紹介されている、経済発展がもたらす問題点を分析します。
 1.人々に激しい競争を生み、伝統社会の協力や助け合いに代わって対立が生まれる。
 2.それまで日常的に持っていた自然との関わりから、人々を組織的に切り離す。
 3.自分が何者であるかの了解が崩れて、人々は不安で不安定になる。
  こうした三つの要素が関係しあって、社会全体の幸せを減少させていく、
  それがグローバル化の正体で、人々を都会に集中させて農地を奪っていく。
  「成長は必要である」と思い込ませて、邪悪な経済システムが出来上がっている。

 ここで注目は、「人々がもっとも深いレベルで本当に必要としているものは何か」
 とヘレナさんが問いかけたとき、辻さんの答えは「つながり」だったのですが、
 ヘレナさん自身は、「愛される」と言うことだと答えていることでしょう。 
 子どもたちは、愛されたい、尊敬されたいのに、そのために何か買わされてしまう。
 親子の愛情さえ買い与えることで代用されるので、子どもたちは満足できない。
 こうした代用品が経済成長の源になって、人々を不幸に導いているということです。
 正しい方向へ修正するには、消費を煽る教育そのものも正す必要があるでしょう。

第3章 ローカリゼーションで幸せの経済を
  ピークオイルなどで言われている、資源枯渇の問題や温暖化の問題などは、
  基本的にローカリゼーションで解決することだから、方法は見えている。
  むしろこうした危機を契機に、新しいコミュニティや地域経済が始まっており、
  そこには食や農が深く関わっていることが、間違いのない事実としてある。
  グローバル化や、企業の巨大化、経済成長などが問題を引き起こしているのだから、
  新しい社会は、ローカルで、自給的で、絆的なものが主役になる必要がある。

およそこのような内容の本になっています。
読み終えて感じることは、ヘレナさんの揺るぎない世界観のようなものが、
こうしたローカリゼーションの意味を、下支えているということです。
世界で何が起きているかを知っているからこそ、自分が何をすればいいかもわかり、
人生をどう楽しむべきかも、彼女は知っていると思われるのです。
分散自給型の経済で、安全で安心な社会を作れば、環境も気持ちよくなるでしょう。
この本はそうした考えを、二人の会話の中にわかりやすく収められているのです。
 
 
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