一編の詩

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僕は現在20ほどのMLに参加して、毎日たくさんのメールを受け取ります。
今回の東北太平洋地域の大地震に際しても、様々な情報や意見が届きました。
情報の多くはマスコミ報道を超えるものではありませんが、いくつかの情報は、
マスコミに先駆けて知り、だからといって自分にはどうしようもない無力感。
そんな時に、いつも災害支援に尽力されているPCToolの能登さんから、
揺れる心に打ち込む楔のような、ある種力強い一編の詩が転送されてきました。

世界がほろびる日に
かぜをひくな
ビールスに気をつけろ
ベランダに
ふとんを干しておけ
ガスの元栓を忘れるな
電気釜は
八時に仕掛けておけ

石原吉郎の詩だそうですが、身の引き締まる思いがするのは何故でしょう。
常日頃から、問題を起こさない生き方の実践を考え続けてはいるものの、
今回の大地震のような未曾有の災害を前にすると、立ちすくんでしまいます。
被災地から遠くにいて、自分は何をすればいいかわからないまま、
昨日は天気も良かったので、雪が少なくなった田畑の様子を見に行って、
新しく土を入れた苗ポットに、わずかばかりの種を下ろして過ごしました。

手の届かない災害には、そのために政府や行政があることを信じて委ね、
具体的に協力できることが出てくれば、そのときにお手伝いをすればいい。
僕ら日本人には、幸いにそうした信頼感はいまでも脈々とあるので、
何を批判する前に、まずこの現実を少しでも和らげるための協力をしたい。
そんな気持ちに対して、理屈ではなく具体的な示唆による勇気づけが、
この一編の詩には満ちている気がして、大きなものが届いてきたのです。

こんな詩を書ける日本人、その同じ日本人の一人であることを誇りに思い、
この文化を大切にして、自分が出来ることをやり続けたいと思うのです。
僕は今まで通り市民活動を続けながら、日々の暮らしをやりくりして、
様々な人との繋がりを大切に、問題を起こさない生き方を求めていきます。
そして起きてしまったことに対しては、すべてを水に流して助け合う。
良いも悪いもない、これが和を尊ぶ日本文化の真髄なのだと思うのです。
 
 
石原吉郎詩文集 (講談社文芸文庫) の情報は、↓こちらから。