依存と自立と依存症

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高岡市の市民企画講座で「暴力で解決しない社会を」イメージ 2
と題する、興味深い講座があったので、行ってきました。
1回目の昨夜は「DV加害者の現状を知る」として、
石川県こころの健康センター、清田吉和さんのお話です。

世界的には10年ほど前から、日本でも5年ほど前から、
DVに関する話題は、多くなっていると思うのですが、
心身共にもっともリラックス出来るはずの、家庭空間で、
なぜ深刻な暴力が発生してしまうのか、不思議です。
そのメカニズムは、被害者ではなく加害者を知ることで、
何かわかるのではないかと考えて、聞きに行ったのです。

清田さんは、発達障害などの精神ケアが専門の医師で、
今回のお話では、依存症との関連が興味深いものでした。
DVなどの問題を起こす人には、子ども時代の成長過程で、
自我同一性を獲得し損なった人が多いと言うことです。
例えば過保護に育てられると、他者との信頼関係が築けずに、
不満や問題の原因を、他者にばかり求めて自立性がない。

こうした人は、必ずしもDVの加害者ばかりではなく、
ギャンブル、買い物、薬物、アルコールなどに依存して、
何でも他者の所為にするので、当事者性に欠ける特徴がある。
なるほど、DVは一つの依存症と考えればよくわかるし、
反省だけしても治らず、繰り返す理由もわかってきました。
と同時に、いかに解決が難しいかもわかってきた気がします。

もともと人は、様々なことを他者に依存して暮らすもので、
お酒を飲んだり買い物をしたりすることが、悪いわけではない。
問題は、それが人生の大きな楽しみでもあるからと言って、
自分をコントロールできないほど、依存してはいけないわけで、
常に自分を自立させることで、自由でいる必要があるのです。
この「自由自立」が、大きな鍵になるのだろうと思います。

考えてみれば、これは国家や地域社会も同じことで、
周囲との関係が大切だからと言って、自立を失ってしまえば、
やがて依存症となり、どこかで暴力的解決を図ってしまう。
いわば現代は、個人も社会も依存体質が強くなっているので、
意識して自立性を高めていかないと、依存症になりやすい。
個人から地域社会、国家まで、他者との関係が必要だからこそ、
自らが自立した存在になることが、大切だってことでしょう。

DVの加害者は、社会的には何も問題がない人ばかりで、
普段は人当たりもよく、仕事がよくできるのも納得できる。
過保護に育てられた子どもは、与えられた仕事は優秀だけど、
自立性に乏しく、他者を思いやる対等な関係が築けない。
たぶんそれが、DVの正体なのでしょう。