円高が止まるには

イメージ 1
 
最近のテレビや新聞を見ていて、不思議に思うのは、
当然のことと思われる円高を、どうして大騒ぎするのか、
それでいて、原因については当を得た指摘がない。
すでに、経済拡大が人を幸せにする時代は終わって、
これからどのような社会を目指すべきかを考える時代に、
ドルを機軸にしたグローバル経済拡大が、原因ではないのか?

多くの国々は、すでに経済拡大に疑問を持っていながら、
確たるそれ以外の方向性も見出せないので、模索状態のまま、
経済拡大を目指す日本通貨を、漠然と買うしかないのです。
ドルを買っても、アメリカがそれを守るとは思えないし、
最大のドル保有国である中国も、どことなく危なっかしい、
そんな事情から、消極的に円が買われ続けるのです。

こうした事情は、日銀が介入して変わるものではないので、
世界的に新しい将来ビジョンが出来るまで、続くでしょうし、
それによって、世界に過剰な貿易や経済も抑制されます。
いわば自由経済の必然によって、経済抑制が始まったと見ても、
あながち間違ってはいないのかもしれませんが、無理もあり、
将来へ向かう機軸がないので、不安定な状況なのです。

それでは、将来に向けての安心安全な社会モデルとは何か?
と問われているのが、多くの国際的なやりとりなのでしょうが、
日本の新聞やテレビでは、欧米の価値観しか記事にならない。
中南米でのコチャバンバ合意のような、低経済国の意見や、
経済拡大に疑問を持って、循環型経済を求める考え方などは、
せいぜいCOP10などで報じられる程度なのです。

これが10年前であれば、僕らもそれ以外の知識がなく、
新聞テレビが流す情報だけで、判断していたのでしょうが、
今では、そうした特定価値観の大量情報ばかりではありません。
直接様々な新しい価値観に接する人が、自ら情報を流し、
僕らはそうした多様な価値観の中から、必要なものを選択し、
さらに検証して、自分の考えや生き方に活かせるのです。

十数年前の円高時には、僕は何度も海外旅行をしていたし、
今回の円高でも、海外旅行や輸入品を買う人は増えるでしょうが、
当時と今では、明らかに事情が違ってきているのも事実です。
その一番の違いは、産業拡大によるアメリカ型の豊かな生活は、
さらに続ければ絶望的な環境破壊をもたらし、持続できないとわかり、
将来に対する漠然とした不安の中での、円高だということです。

この不安を払拭できるのは、新しい豊かさの社会モデルを示し、
その方向へ向けて、社会経済の方向性を転換することで、
人々の暮らしを、希望に満ちたものにするしかないのです。
生活が一番!と言いながら、経済優先の原発推進では、
言葉を愚弄しているだけで、政治に信が疑われても致し方なく、
地に足のついた循環型社会への転換こそ、円高を止められるのです。
 

写真はCOP10のオフィシャルソング「LIFE IN HARMONY」
をうたう歌手のMISIA(ミーシャ)です。