「タゴガエル鳴く森に出かけよう!」

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石垣島へ旅立ちの直前に読んだ本が、生き物の面白さを描いた、
小林朋道さんの、「タゴガエル鳴く森に出掛けよう!」でした。
春夏秋冬に分けて、各季節に二つずつの話題を取り上げ、
一風変わった学者の目線で、生き物の世界を興味深く書いてある。
これが独特の味わいを持っていて、読む者を飽きさせません。

素人の山歩きとは少々違って、専門家ならではの感性が光り、
タゴガエルやアカハライモリの、詳細な観察記録などもあるのに、
読んでいると、専門知識よりも興味深さが全面に出てきます。
これは小林先生の人間性なのでしょうが、至るところにあって、
「海辺の風景を見て、母の胸に抱かれるような懐かしさを感じる」
と表現されるあたり、詩的感受性の持ち主でもあるのでしょう。

最近では、日常的に生き物と接することは少なくなりましたが、
子どもたちは今でも生き物が大好きで、だけど虫に触れなかったり、
感受性として生き物が好きなのに、不慣れで接し方がわからない。
そんな子どもたちを招いての、フィールドワークの様子や、
学生とのやりとりには、愛情深さも感じ取れるのですが・・・

様々な生き物を観察するのと同じように、人間観察もしていて、
子どもから老人まで、出会う人を実に豊かに表現しています。
見えない生き物が隠れている穴に、手を突っ込んで取り出すような、
僕にはとうていまねの出来そうにないことをする、学者先生が、
消えるイモリを追って、何年も智恵を働かせるのも興味深いですが、
祭りに集まって踊る人を見て、狩猟採集民と思う発想も面白い。

なんだか、話の面白い人と時間を忘れて話をしたような、
読書がこんなに楽しかったのだと、思い出させてくれる本でした。
これから夏に向けて、屋外の自然の中に出掛ける機会が増えるなら、
その前にちょっと読んでみると、いいことがあるかも知れません。
愛する気持ちを持って自然を見れば、見えない何かが見えますから!
 
 
小林朋道さんの、「タゴガエル鳴く森に出掛けよう!」は、↓こちらから。