月経、妊娠、出産、授乳

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生命の循環を、中心的に担っていることから考えれば、
おおかたの命あるものは、女性を中心に回っています。
人間も例外ではなく、人類の中心は女性だと思うのですが、
この女性“性”が、近年危うくなってきているように見える。
だけどそれがどういうことか、男の僕にはうまく言えない。

ず~っと抱えていた、そんなもどかしい思いに対して、
このところ読み始めた、三砂ちづるさんが答えてくれました。
今回読んだのは、「オニババ化する女たち」と題した本で、
副題の、~女性の身体性を取り戻す~、が内容を現しています。
ただし今日の記事名が、本の題名でないのは理由があって、
この本を読んでいる内に、あまりにもいろんなことを思い出し、
直接本の内容とは外れたことを、書きたくなったからです。

そもそも男女“性”に、関心を持ち始めたのは小学生の頃で、
なにしろ小学校の授業など、体育以外は全科目満点が当たり前で、
それ以上の好奇心が、何でも知りたいと思っていた頃です。
当時は今と違い、子どもは大人の管理下にはなく自由でしたから、
しかも家の造りから公共設備まで、何でも覗ける状態でして、
お医者さんゴッコは当たり前の、銭湯も恰好の覗き場です。

見れば見るほど、知れば知るほど謎の深まる女性性に、
ちょうど姉が手に入れてくる、女性雑誌のSEX記事を読んで、
学校では教えてくれない性知識で、頭が一杯になっていました。
やがて中学に進んで、年下の女子にその話を披瀝したら、
さっそくその子の親が、我が家に乗り込んできての抗議です。
「うちの娘に、なんてことを教えるのだ!」と言うわけです。
人に話してはいけない知識がある、と知った瞬間でした。

それ以来、何故“性”は隠されなくてはいけないのかを学び、
家族制度や社会構造の、学校では教えない側面に関心が及んで、
学校の授業がまったくつまらないものに、思われてしまう。
中学高校と、何かと生徒会の役員をした理由の多くは、
学校の授業やイベントに、関心が持てなくなったからでした。
高校の友人が「不純異性交遊?」で退学になったときは、
ささやかながら、学校の対応に抗議したのを覚えています。

大学に進学してから、田舎では知らなかった学生運動など、
新たに多くのことを学びますが、相変わらず大勢に関心はない。
生きることの中心には、性がどっかりと居座っていたので、
性を中心に様々なことを学び、旅の生活にのめり込みました。
日本や世界のあちこちで、人はどのようにでも生きるわけですが、
そこには必ず男女性の文化があって、必ず大切にされている。
ところが不思議なことに、日本では性を蔑ろにしていく。

僕は今、市民活動で「男女平等」に関わっていますが、
例えば男女が同じ価値基準で評価されることは、間違いだと思う。
こうした男女性の違う価値観が、正当に評価がされなくなった、
その理由こそ、女性をおカネ経済の道具にしてしまった、
戦後のアメリカ文化の、負の遺産ではないかと思っています。
いかにも、虐げられた女性を男性と対等にした!と言われながら、
過去の日本文化にあった、豊かな女性性が失われていった。
僕はそれを惜しんで、一辺倒の価値ではない社会を望むのです。

それではこの、失われた日本の女性性文化とは何か?
三砂さんの話では、身体性に関わる話がたくさん出てきます。
ここでも、なるほど!と思う内容が、たくさん出てくるのですが、
例えば月経に使われるナプキンなどなかった頃の話として、
昔の女性は、月経血をダラダラ流さずにコントロールできており、
夜寝ている間に寝具を汚すことはなかった!と書いてある。
これは今まで疑問に思いながら、聞けなかったことの一つで、
以前一緒にいた女性が、就眠中に月経血で寝具を台無しにしたとき、
昔の女性はどうしていたのか、不思議に思っていたのです。

出産にまつわる話でも、なぜそんなに病院が必要なのか?
出産は病気ではないし、昔は自宅で産むのが当たり前だったのに、
産婦人科がないから子が産めない」になったのは何故か?
山の温泉の休憩所で、80代のお婆ちゃんたちが話していたのは、
「昔は家の土間で、乾燥した藁を敷いて、何人でも産んだものや!」
そこで生まれた子供たちと親の絆は、とても安定しているのはなぜ?
僕は当事者ではないので、あまり積極的には言えませんが、
三砂さんの話に通じるものを、感じずにはいられませんでした。

日本の神社の作りなど、女性性をそのまま祭ったと思われて、
鳥居が外性器で、参道は産道であり、その先に本宮(子宮)がある。
そこへ男が担ぐ御輿に載った御霊(精子)が飛び込んでくるので、
これを知っていれば、女御輿は文化に無縁でさえあるでしょう。
しかし、マネー経済で男女平等を考える人は、それさえ気付かない。
かつておおらかに性を賛美した日本文化は、この60年で破壊され、
やがて命の価値さえも、おカネ換算でしかわからなくなる?
そうではない豊かさを、生きている限り感じていたいと思うのですが・・・
 

三砂ちづるさんの「オニババ化する女たち」は、↓こちらから。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334032664?ie=UTF8&tag=isobehon-22