哲学と女性

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最近市民活動をする仲間に、哲学に関心を持つ人が増えて、
さらに先日などは、源氏物語の勉強会に参加された新人からも、
自然農の話から、学生時代に哲学が好きだった!との話になりました。
僕よりかなり年輩の女性が、学生の頃に哲学をされていたと聞いて、
高校生だった頃の、忘れられないエピソードを思い出しました。
 
高校3年生の、季節は秋だったと思うのですが・・・・
僕は放送研究会に所属していて、放課後はよく放送室に行きました。
お昼に流す、簡単なディスクジョッキー形式の音楽番組を作ったり、
用が無くても、ストックされていた洋楽を聞きに行ったりした、
そのスタジオで、同じ三年生の女性と二人きりだったときに、
外から鍵をかけて、閉じこめられてしまったことがあるのです。
 
普段から目立たない、色白のおとなしい女性だったのですが、
僕があわててしまったのに対して、彼女はそんな僕を見て笑うくらい、
まるで大人の女性のように、落ち着いていたのを思い出します。
何か話をするときも、ほとんど目を合わせない控えめな感じなのに、
よく見ると美しいし、胸のふくらみが大きくて目が行ってしまう。
 
今思えば、いったい僕は何をあわてていたのでしょうねぇ。
しばらくは話をしていたのですが、次第に外が暗くなってくると、
彼女は落ち着いているのに、僕は何とかしなくちゃいけないと思って、
何か大きな音を立てて、外の人に気付いてもらえるようにしました。
そして誰かが気付いて、外の鍵を開けてくれたのですが・・・・
あれは、彼女自身が仕組んだことかも知れなかったのです。
 
何ヶ月か過ぎて、僕らは大学受験に奔走するようになり、
僕は親元から離れたかったこともあって、東京へ進学を決めました。
そんな時期に彼女から電話があって、大切な相談を受けたのです。
二つの大学に合格したけど、どちらへ進むか迷っていると言うのです。
一つは有名大学だけど、必ずしもやりたい勉強ではなくて、
もう一つは、やりたい勉強だけどあまり有名な大学じゃない。
どちらへ進学すればいいと思うか?と相談されたのでした。
 
やりたい勉強って何なの?って聞いたら、哲学だと言うのです。
僕は高校生の頃に哲学書を読むのが好きで、そんな話もした気がします。
だけどそれが彼女に影響したのかどうかは、今もってわかりません。
それでも彼女には、やりたいことをやった方がいいと思う!と答えました。
実際にはどちらを選んで、どのような進学をしたのかは知りません。
僕はその後、一度も彼女とは会っていないし、消息も知らない。
 
だけど今でも、あの二人で閉じこめられた彼女の顔を思い出すのです。
あの時の年齢のままの顔で、あの頃よりもいとおしく蘇るのです。
人間とは何か?と考えるときに、彼女を思い出さずにはいられない。
人生の不思議さを、哲学せずに生きることは出来ないのです。