「人生に乾杯!」

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ハンガリー映画は、「君の涙ドナウに流れ―ハンガリー1956―」以来で、
やっぱり映画館公開ではなく、今回は北日本新聞社主催による映画会でした。
事前の情報は何もなく、「人生に乾杯!」って題名と雰囲気に惹かれて、
ちょうど、昼の用事と夜の用事の間に上映時間が嵌ったこともあって、
割引なしの当日料金(1300円)を支払って、見に行った映画です。
 
感想を「ひとこと」で言えば、いや~!面白かったです。
簡単な映画紹介を見て、ほぼ予想したとおりのストーリーなのですが、
微妙に世間の様子や反応にユーモアがあって、思わず頬が笑ってしまいます。
 
年金暮らしで生活が立ちゆかなくなった、老夫婦が主役なのですが、
ついに電気代も支払えなくなって、お婆ちゃんはダイヤのイヤリングを外し、
おカネを取り立てに来た役人?に、それを渡してしまいます。
そのイヤリングは、お爺ちゃんと二人、まだ戦争中だった若い日に、
命がけで恋をした思い出の品なのに、手放さなければならない。
それを見たお爺ちゃんが、一念発起して銀行強盗を始めてしまうのです。
 
それを取り締まる警官も、どことなく間抜けでユーモラスなのですが、
決してコミックにはならず、素直に老夫婦を応援したくなってくる。
骨董品のような車「チャイカ」を飛ばし、颯爽と走るお爺ちゃんはかっこよく、
この古いロシア製のリムジンは、5.5リッターV8ユニットを備えた馬力で、
警察官や警察の車を、何度も煙に巻いて逃げていくのも、不思議と嬉しい!
 
ぎっくり腰で糖尿病で、いつくたばってもおかしくないお爺ちゃんが、
お婆ちゃんのために銀行強盗をして、そのお婆ちゃんに謝まるシーンは、
なんだか微笑ましくて、だんだんこのお爺ちゃんが好きになっていきます。
もちろん映画監督は、そんな観客の感覚を実によくわかっています。
この爺さんを真似た老人の強盗が出てきたり、年金生活者の抗議が起きたり、
町では様々な反応が起きて、マスコミも彼らの行動を追い続ける。
 
様々に仕掛けられた面白さは、是非映画を見て欲しいので言いませんが、
最後のシーンでは、僕も騙されてしまって、思わず泣いてしまい、
その種明かしを知って、涙を流したまま笑ってしまいました!
これからの高齢化社会で、苦しい年金生活を余儀なくされる世界中の人々に、
人間とは何かを考えさせる、とても魅力的で楽しい映画でした。
 
 
4月9日には、DVDも発売されるようなので、紹介しておきます。