「公共哲学」からの「協働」

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公共哲学ネットワークを指導されている、千葉大学の小林正弥教授から、
ハーバード大学マイケル・サンデル教授(写真)の、有名な講義である「正義」が、
NHK教育で、4月4日から12回連続、毎週日曜午後6時から放映されるとの情報がありました。
 
マイケル・サンデルは、昨年のNHKスペシャルで知りましたが、
どのような考えの人かは、今までまったくわかっていませんでした。
それが4月から、NHK教育テレビで講義が聴けると知ったので、
ネットで検索しましたら、東京大学の山脇直司教授の報告文書を見つけました。
http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/ReCPAcoe/keynote-yamawakinaoshi.pdf
山脇教授も、公共哲学には欠かせない先生のお一人です。

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特集/持続可能な福祉社会に向けた公共研究拠点
【基調報告―――2】  公共哲学とは何か
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このように題された文書が、何の基調報告だったのかはわかりませんが、
内容はとても興味深くて、一気に読ませていただきました。
 
特に、小林先生たちの翻訳で出版予定とされる(既に出版されている?)
マイケル・サンデルの『民主主義の不満』の中にあるとされる文章。
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市民が政治に参加するというような「リパブリカニズム(共和主義)の
公共哲学」が必要だというものです。単に社会契約で成り立つ政治とは
違う、人々がコミットメントして行なわれる政治の在り方が望ましい
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これはまさに、僕らが現在「地方自治基本条例」制定に向けて、
市民と行政の対等な“協働”を、どう条例化するかの課題でもあります。
すなわち、主権者は市民だと言いながら、一度選挙で為政者を選んでしまうと、
彼らは全権委任状を受け取ったかの如く、好き勝手な政治行政を行ってしまう。
こうした横暴を許さないために、常に市民がコミットし続ける重要さです。
 
ここで述べられている内容から、
いくつかの表現を抜き出してみると、
◆「政府か市場か」という二項対立はもはや通用しない
◆「活私開公」という人間観、つまり、個人一人一人が活かされながら
 民の公共を開花させ、政府の公をできるだけ開いたものにしていくような
 「人間―社会」観が必要となってきます
◆専門化の正の遺産を尊重しつつも、しかしその限界やタコツボ状態を突破して、
 共通のトピックやイシューを設定し、シリアスな課題と取り組むために
 協働しあうという「ポスト専門化」時代

次々に出てくるこうした表現は、そのまま市民協働の大切な視点でもあるので、
もっと早く、こうした文書を見ておけば良かったと思わずにはいられません。
そうした関心からも、今回のマイケル・サンデル教授の連続講義には、
大きな期待を持って、楽しみになってきたのです。
 
僕はこの公共哲学ネットワークには、創設当時から参加していますが、
なかなか直接フィロソフィアの集まりに出られない、田舎暮らしをしています。
だからこそ、こうした講義をテレビで見られるのは、実にありがたいのですが、
せっかくこうしたことが可能な時代に、欲しい情報はあまりにも少なく、
どうでもいいセンセーショナルな情報の多さにも辟易します。
 

公共哲学ネットワークに関心がある方は、こちらを見てください。
http://public-philosophy.net/