せつない恋景色

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「恋景色」と言っても、演歌の話ではありません。
NHKの番組「ためしてガッテン」を見て、思ったことですが、
昨日のテーマであった「ダイエット」の話でもありません。
番組を見ていて考えたことは、いわゆる脳科学
男と女の「脳の違い」からくる、考え違いの話です。

番組では、「計るだけダイエット」の効果について、
どうして男だとうまくいくのに、女性は失敗するのかと考える。
そこで脳科学が出てきて、男と女の脳の構造の違いから、
同じ事態に際しても、男女では反応に違いがあることを指摘します。
昔よく言われた「地図を読めない女」と「人の話を聞けない男」
のようなものですが、男は対象を分析理解しようとするのに対して、
女は対象に感情移入してしまうのだと言う、この違いです。

そもそもなぜ、男は多くをしゃべるのが苦手かと言えば、
コミュニケーションの目的は、相手を理解することなので、
お喋りで理解するよりも、見たり触ったり分析したりで理解する。
つまり黙って分析活動に入ってしまうから、話が疎かになる。
すると、ひたすら感情移入を求める女性にとっては不満で、
男はちっとも人の話を聞いていない!ってことになるようです。

たとえば男が女に恋をしたとして、その目的は何か?
なんて分析をしてしまえば、「抱きたい!」みたいな話になる。
うっかりそのまま女に言おうものなら、とんでもないことで、
「あなたはわたしの体が目当てだったのね!」となってしまう。
これが20歳そこそこの、情熱に満ちあふれていた時期であれば、
「そうじゃない、きみじゃなきゃダメなんだ」と口説きます。
ところが恋も何度目かになると、過去の失敗の記憶が蘇ったりして、
「俺は女の体が目当ての男なんだなあ・・・」と理解してしまう。

こんな話がちまたに溢れるようになってしまえば、まじめな男は、
自分の性欲によって女を抱くことが、間違ったことのように思われ、
いわゆる草食系男子が登場するのも、無理からぬことに思う。
逆にすでに何度かの恋を済ませた男は、予定調和によって、
どうせ恋は一時的な感情ものだから、と冷めていってしまう。
そして意識的に、合理的な関係で性欲も済まそうとするのかも。

こんな身も蓋もない話では、誰も恋をしなくなるかと言えば、
やっぱり恋は恋、何度失敗しても、人は人を“こひ”してしまう。
恋とはもともと“請ひ”だと思うのですが、それにしても、
「こう」を辞書で引くと、乞、向、抗、光、好、幸、考、交、香、
その他驚くほどたくさんの意味を含んでいる言葉だとわかります。
これほど多様な意味ある言葉を、特定の意味で縛る必要はなく、
僕らは「説明の付かないほど多様な意味で恋をする」とわかります。
男としては、こうした分析理解によってあらためて恋をする。

女はと言えば、もともと分析理解ではない感情移入ですから、
わかっていようが分かっていなかろうが、話を聞いて欲しいのです。
ある程度経験を積んでくれば、お互いにすれ違いながらも、
違いを知った上で、そうやって傍にいてくれることが大切になる。
まあ僕も、もっと若くしてそこまで達観できていれば、
今頃は傍に、誰かいてくれたかも知れないんだけどねぇ・・・


写真は、能登半島の恋路浜です。