「ホタルの歌」

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1966年5月から、およそ2年間に渡って、
徳島県三郷村の小学校で、実際にあった出来事を、
原田一美さんが書いた「ホタルの歌」を読みました。
題名の通り、当時小学校の先生だった原田さんが、
生徒たちと一緒にホタルの観察をするお話です。

1966年に、小学校の6年生だった生徒たちは、
ちょうど僕と同じような世代!ってことでしょうか。
だけど僕の学校では、こんな自然観察はなくって、
教室での教科書を使った授業しか覚えてません。
単に僕が、忘れているだけかも知れませんけどね!

僕が通った小学校と違って、この本に出てくる学校は、
山間の僻地と言える、自然豊かな場所だったようで、
学校のすぐ傍に、ホタルがたくさん生息する川がある。
その川縁へ、生徒に誘われてホタルを見に行った先生が、
あまりにも美しい光景に、驚くところから始まります。

生徒は先生だった原田さんに、ホタルはなぜ光るのか?
昼は何をしているのか?、オスはどれかと質問しますが、
彼はそれに答えることが出来ず、一緒に調べることにする。
そこから、学級でのホタル研究会が始まったのですが、
これが次第に全校生徒やPTAを巻き込み、村を巻き込み、
ついには県の研究発表会で、最優秀賞を取るようになる。

おおまかに言えば、こんな教育読本のような話ですが、
実際に読むと、先生と生徒の心の触れあいがうまく描かれ、
2年間に渡る長編小説を読むような、様々な感動がある。
そして嬉しいことに、読んでいるうちに自分も加わり、
一緒になってホタルの生態を学んでいけるのがいいですね!
読み終わった頃には、ホタルの生涯を知る人になれるのです。

実際に僕らは、ホタルのことをどれだけ知っているのか?
どんな場所で、どんな生き方でホタル暮らしをしているのか?
卵から幼虫、サナギ、そして成虫になるまでの生涯ことを、
実際に観察することで学んでいく、生徒と先生の交流は、
人間の信頼を育てる、教育の在り方まで教えてくれるのです。

わざわざ同じ学校に子どもたちを集めて、教育する目的は、
皆で信頼関係を養って、同じ一つの社会を作っていこう!
との考えがあるはずで、今の学校にはこの部分が弱い気がする。
すでに正解がわかっている勉強ではなく、同じ心で、調べて学び、
一緒に成長していくことが、教育の本道だと思わされるのです。

写真は本の表紙ですが、ホタルの乱舞する様子がよく表れていますね!


原田一美さん著作の「ホタルの歌」は、こちら(↓)から。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4051029085?ie=UTF8&tag=isobehon-22