南砺の至宝展

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南砺市合併5周年記念事業として、
時代物屏風絵のお宝たち「南砺の至宝展」が、
7月11日~9月23日まで、開催されています。
南砺市広報と一緒に、無料鑑賞券が付いていたので、
初めて訪れる福光美術館へ行って見てきました。

まずこの美術館の立派さにも驚かされましたが、
駐車場が満車で、路上駐車せざるを得なかったのにも、
それほど市民の関心が高いなら凄い!と思って入館。
でも入ってみると、地元の市民大学の一つらしい、
40人ほどの団体が、展示品の説明を受けていました。
地元の団体なので、バスではなく大量の車だったのです。

この団体に、展示されている屏風絵の解説をする人がいて、
僕もその話を聞きながら、遠目で屏風絵を眺めました。
展示作品は12点で、一番古いのは17世紀初頭のもの。
驚くのは、この「北野社頭阿国歌舞伎図屏風」と、
瑞泉寺所蔵の「虎図屏風」以外は、全部個人所蔵で、
今でも何かの席では、広げて飾っているらしいのです。

砺波平野が自然豊かな土地で、それゆえ作物も豊富、
食文化から和歌、俳句、茶、織、謡、舞、何でも有りで、
散居村の大きな屋敷には、お宝が眠っているのは確か。
その一部を公開するだけで、至宝展になるのです。

写真で紹介したのは、チラシをスキャンしたもので、
源平合戦図屏風」の一部であり、合戦ものは他に2点、
物語絵解き風が2点、デザイン自体を楽しむのが3点あって、
当時の京都案内図とも言える、名所の配置図もありました。

そんな古い屏風絵の中で、僕が一番関心を持ったのは、
これも個人所蔵で、鳥山石燕の「月次風俗図屏風」でした。
1783年に制作された、6曲1双の絹本着色もので、
当時「画図百鬼夜行」などの妖怪画で人気作家だった作者が、
最晩年に描いたのが、一年12ヶ月の年中行事だったのです。

1月は「羽根つき」と「大黒舞」
2月は「七五三」と「ふいご祭」
3月は「闘鶏」と「ひな祭り」
4月は「藤見」と「灌仏会
5月は「田植え」と「端午の節句
6月は「天狗」と「川開き」
7月は「七夕」と「盆踊り」
8月は「月見」と「収穫」
9月は「相撲」と「重陽節句
10月は「紅葉狩り」と「茶会」
11月は「天神様」と「初午」
12月が「餅つき」と「すす払い」

僕が見たまんまでは、こんな感じでしたが、
展示所の解説では、確証がないのか空白もありました。
おどろおどろしい妖怪画の作者とは思われない、
暖かみある落ち着いた画風で、市民生活が描かれている。
それにしても、226年前に描かれた年中行事が、
今とあまり変わらないところが、日本文化なのでしょう。
石燕の弟子から、浮世絵師が出てきたのも頷けます。

団体が帰ると、すっかり閑散とした館内で、
僕はしばらく建物の様子を見て回り、庭を眺め、
見つけた図書室で、この地方の古い写真集を見ました。
僕が生まれて間もない頃の、井波の太子伝会の写真には、
信じられないほど大勢の人が集まって写っていました。