アフルエンザ(消費病)

イメージ 1

社会的認知と対応によって、ある程度抑制できているエイズや、
未知のものなのに膨大な予算で対応する、新型インフルエンザと違い、
今現在深刻な被害がありながら、何も対応できていない病気として、
アフルエンザ(消費病)という、やっかいな精神障害があります。
この病気による死者数は、自殺と近親者による殺人を含めれば、
戦争に匹敵するほどの、膨大な数になるのではないでしょうか?
ところが経済優先の政府とマスコミは、この問題を取り上げない。

民主主義が未熟なまま、アメリカ主導で経済大国になった日本では、
政治は民意を反映するよりも、経済界の意向を反映するのですが、
その経済界でも主要産業である自動車のCMで、新しい流れがある。
今までもエコカーや低燃費車のCMはありましたが、その多くは、
まったく不可解な、清浄な自然の中を走るイメージを植え付けるだけで、
むしろいかに自動車が、環境破壊を引き起こす張本人かを印象づけました。
ひどいCMでは、燃費がいいからどこまでも走ろうというのですから、
何のために燃費を良くするのか、その企業精神の社会性が疑われる。

ところが今回新型デミオのCMでは、車のCMとしては画期的に、
「近いところは自転車で行こう!」と時代の精神を表現し始めたのです。
すでに市民の考えは、そのように変化していたものを、政府は理解せず、
高速道路料金の引き下げで、ガソリンの消費を増やそうとしている。
マスコミは政府とスポンサーの意向に従って、景気浮揚を支持するので、
収入を疎外するような評論はしませんから、目新しいことは何も言わない。
そしていつものように、新しい風は企業から吹いて来るというわけです。
これが日本で、民主主義が育たない理由でもあるのでしょう。

これほど消費すること、稼ぐことの美徳を植え付けてきた日本ですから、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・毎日の生活が、買い物をしないと物足りなく思われる。
・買い物に行くのは幸せなのに、終わるとすぐに不安になる。
・家の中にはものが溢れているのに、さらに不要なものを買う。
・マスコミで紹介される商品が、必需品のように思えて欲しくなる。
・今使っているものが壊れる前に、新商品が欲しくなる。
・豊かな生活を維持するには、長時間労働が当たり前と思う。
・家族や友人との語らいよりも、買い物や仕事のことを考える。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とまあ、消費中毒の症状を持つ人が、いたる所に溢れています。
多くの人は、これが病気であるとも、精神障害だとも思いません。
だけどこれらは、典型的な中毒(依存症)の症状なのです。

アフルエンザの指摘そのものは、すでに前世紀からあったようですし、
日本でも2004年には、そうしたことを解説する本も出ています。
だけど企業がこれを自覚して、健全な経済活動とは何かを考えるまで、
どれだけ多くの人々がおカネより自然の豊かさを求めても、政府は動かず、
政治家やマスコミは、彼らを養う企業論理から外れることは決して言わない。
だからこそ、今回の新型デミオのCMを見たときに、ようやくこの国も、
本気で循環型社会を目指す気運が出てきたのだろう!と感じたのです。

と言っても、消費中毒が何故いけないのかがわからないままでは、
CMに惹かれて新型デミオを買ったところで、アフルエンザは治りません。
この精神障害から快復して、気持ちよく人生を過ごしたいと思えば、
自分とは何者かを自分と向き合って考え、自分を知る必要があるのです。
その上で社会がどうなっているかを知り、自分と社会との関係を正常にする。
これがそのまんま民主主義と人権を考えることであり、実現することです。
政府やマスコミの言うことを鵜呑みにせずに、自立して生きたいですからね!