消える遺伝子

イメージ 1

まるで謎解きの推理小説ようなお話ですが、
何故人間がここにいるのかわからないのと同じように、
この20年間、男の精子は急激に弱体化しているそうです。
新しい個体が男性であることを決めるY染色体が劣化して、
精子の数が減り、その勢いも弱まっているというのです。

これはNHKのスペシャル番組「女と男」第三話の話ですが、
1996年にアメリカで出版された「OUR STOLEN FUTURE」、
日本でも翌年に「奪われし未来」として出版された本と同じで、
今や人類の生殖機能は、麻痺し始めていることの現れでしょう。
ゴア元アメリカ副大統領は、今では地球温暖化の指摘で有名ですが、
彼は元々、人類が作り出した合成化学物質の危険性を訴えた人で、
その中でも、環境ホルモンの危険性を一番危惧していたのです。

この環境ホルモンに代表されるような、合成化学物質による汚染は、
誰も正確に生命界への影響を解明できないまま、突き進んでおり、
もはやあまりに入り組んで、何が何の原因かなどわかりません。
企業や政府は、害があるというなら証明しろとうそぶくばかりで、
人々の将来を真剣に考えているとは、とうてい思えなくなっています。

したがって、今さら男のY遺伝子が消えると聞いても驚きませんが、
最近急カーブを描いて劣化が進んでいると聞くと、やはり寂しい。
何年か前に、皇室の世継ぎ問題が表面化した時は男系の是非が問われ、
女性が皇位を継承してもいいではないかとの議論が渦巻いていました。
男女平等の視点からいえば、それでもいいような気はしますが、
そもそも何故男系を重んじたのかが、あらためて問われていました。
そこには、性決定XY遺伝子のYにおける特性があったのです。

女性を決めるXX遺伝子は、X同士だから混ざり合うのに対して、
男性を決めるXY遺伝子のYだけは、混じり合うことなく継承される。
これが男系を重んじる理由だとされたのですが、そのY遺伝子が危ない。
純系であるが故に傷みやすく、長い歴史の中で既に小さくなっていた。
そこへ環境ホルモンの影響などをもろに受けて、もうボロボロなのです。

生物学や医療技術の進化によって、女性に性転換する男性も増え、
その一方で、男性への性転換は難しいこともあって、あまりいません。
世界文化の情勢としても、雄々しい男性像は過去の遺物となっていて、
今では優しい、かわいい、おだやかで寄りそう人間関係が求められます。
いわば、男の時代はもうすっかり終わって、女の時代とも言える。
そこであらためて、男性とはいったい何だったのかが問い直されます。
男尊女卑でも女性崇拝でもなく、男とは、女とは何かが問われている。

日本には、少子化問題担当大臣?などというポストもありますが、
彼らが環境ホルモンやY遺伝子の劣化を話すのを聞いたことはない。
例によって問題の原因を改善することなく、対応策だけに予算を使う。
よって問題は決して解決することなく、人類はゆるやかに滅びていく。
まあその前に、僕の遺伝子は受け継ぐ者なく消えてしまいますが・・・