「K-20 怪人二十面相・伝」

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日本テレビと制作プロダクションROBOTが手を組んで、
「ALWAYS三丁目の夕日」と同じスタッフが集まって作った!
それだけでもワクワクするような、娯楽大作の映画です。
2時間半もの長い映画なので、退屈しないかと心配しましたが、
最初から最後まで、荒唐無稽な話にも白けることなく、
夢中で画面に釘付けになれる、十分に楽しめる作品でした。

ハドソンホーク、バットマンVフォー・ヴェンデッタなど、
怪盗が痛快に活躍する映画は、昔から数多くありますが、
この「K-20」は、そのいずれにも劣らない仕上がりでした!
やっぱり映画は総合作品なので、専門スタッフの才能と、
それをまとめ上げる監督、プロデューサーの力量が不可欠です。
その点でも、この映画は細かいところまで、丁寧にできている。

物語としても、大きな流れにいくつものエピソードが含まれ、
それぞれが興味深く、できればもっと詳しく知りたいと思わせる、
好奇心を刺激する物が、贅沢にちりばめられているのです。
それぞれのパーツから、いくつもの作品が作れそうな緻密さです。
こうした娯楽大作は、ネタをばらすと面白くなくなるものですが、
この作品は、内容がわかっていても楽しめる画面の力もある。
特撮と実写の境界は区別が付かないし、迫力もありました。

優れた作品は、物語が進行する楽しさと同時に、内容も深く、
ここぞという場面では、哲学的な問答や、人の夢が見えたりする。
この作品にもしっかりそれがあって、しかも十分に内容が深い。
ひどい差別社会の底辺で、苦労しながら生きている主人公平吉が、
権力を手中に収めようとするK-20から、仲間になれと誘われたとき、
自分は権力者になりたいのではない、差別を無くしたいのだ!
と答えるところは、他のどの怪盗ものよりも魅力的でした。

架空都市のデザインや設定も、無駄がなく、象徴的ですし、
登場人物も、全員にしっかりと個性があって、飽きさせない。
さらには、様々なトリックや仕掛けを惜しみなく使い捨てるので、
見ている方が先読みすることなく、スクリーンを楽しめます。
しっかりプロモートすれば、世界中で大ヒットも可能な、
寅さんを超える、質の高い連作になりうる映画だと思いました。

いくつか気になる設定や、配役ミスを感じる人はあったものの、
なにしろ楽しく、明るく、笑って過ごせる2時間半は見事でした!
今回は、真の怪人二十面相が登場するまでの物語でしたので、
次回はさらに、どんな活躍を見せてくれるか、今から楽しみです。



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