付加価値でなく

イメージ 1

昨日、2009年元旦に、北陸中日新聞の特集で、
僕らが取り組んでいる自然農のことが、記事になりました。
まだ新聞は見ていませんが、記事はネットで見られます。
http://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20090101/CK2009010102000137.html

石黒完二さんと文子さん(夫婦)を混同されたところや、
僕の企画した北陸平和映画祭と、完二さんの自然農映画上映会を、
一緒にされてしまったかな?って、思われるところもありましたが、
2時間以上取材していただいた内容を、丁寧に纏めていただけました。
全体として、取材を通して伝えたかった心は、書かれていたと思います。
多岐に渡る話をしてしまったので、纏めるのは大変だったでしょう。
これだけの書き方をしていただければ、伝わる人には届くのです。
取材していただいた記者の方、そしてカメラマンの方、ほか、
企画にご協力いただいたスタッフの皆さん、ありがとうございました。

自然農は、単なる農法ではなく、生き方なんだってことが、
多少なりとも農業を知っている人には、なかなか伝わりません。
先日も大福寺へ太田さんを訪ねて、たまたま一緒になったMさんが、
「自然農も有機農業も一緒ですよ」と断定的におっしゃいました。
有機農業のやり方もいろいろいで、不耕起のやり方もありますから、
自然農だけを特別に考える必要はない!とおっしゃるのです。
農法として捉えれば、自然農もやっていることは有機農法ですが、
生き方としての自然農は、農法の前に自然に近しい価値観があります。
なるべく機械やおカネに頼らない発想も、有機農業にはないのです。

何年もの経験から、有機農業も自然農も同じだと思い込んでいる人に、
その違いを説明するには、農業以外のことを話さないといけなくなるので、
ゆっくり話をできる環境でないと難しいですから、あまり話しません。
それでも面白いもので、自然農は有機農業と違うと発信し続けていれば、
聞いた人の心には残り、やがて関心を持って、向こうから尋ねてくる。
そのときに、しっかり矛盾無く説明できればいいのだと考えています。

先日は南砺市長とお会いした時に、自然農に挑戦していると話しましたら、
有機農業は一般的になってしまったけど、自然農には付加価値がある!
とおっしゃいましたので、少なくとも有機農業と違うことはご存知でした。
ただし市長としては、経済効果が大切でしょうから、生き方にはならない。
南砺市の財政によって、市民の暮らしを豊かにするのが務めの人ですから、
僕らのように、おカネではない幸せの在り方を、正面切っては言えないのです。
だけど「毛坊主」をやってらした市長であればこそ、わかることもあるはずで、
おカネを使って、おカネではない幸せを模索する、本来の使い方も可能です。
そうしたことを、少しずつでも話し合える市政になることを期待しています。

昨年から大きく変わり始めた社会の価値観が、何を見つけられるか?
人々がおカネによる経済効果を求めて、都市と大企業に集まってきたのは、
この先も羨望となり続け、貧富の差によって生まれる価値を求めるのか?
人々が自らコントロールできる規模を超えて膨らむ、生産と危険を、
このまま豊かさの指標のように追い求めていいのかどうか、検証すれば、
そこにはかならず、違う価値観も多様にあることが明らかになります。
ゴルギアスのように、ひたすら欲望のままに大量消費をしなくても、
人はもっとシンプルに、身軽に幸せになれることを知るべきでしょう。
問題を起こさない生き方としての自然農は、そのヒントになるものです!