「昭和に学ぶエコ生活」

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年末に図書館で、何冊か借りた本の一冊に、
市橋芳則さんの「昭和に学ぶエコ生活」がありました。
読んでみると、僕にも懐かしく思えることがたくさん!
いや実は、当時は子どもだったのでその意味もわからず、
ただなんとなく記憶の片隅にあったようなことばかりですが、
これが不思議と楽しげで、興味深いんですよね~♪

「エコなヘチマ」=植物を道具に変換して使う。
「鋳掛けてまで使う」=使えなくなったものを直して使う。
「始末する」=クズまで倹約して何かしらに使う。
こうしたエコ三題から始まって、昭和前期の生活の知恵を、
衣食住の様々な分野から集めて、紹介してくれるのです。

最近では家屋を直射日光から守るために、ゴーヤが使われますが、
当時一般に使われたヘチマは、夏の日光を遮るばかりではなく、
ヘチマ水は、化粧水や肌の薬ばかりか、咳止めなどにも使われて、
しかもヘチマの実は、たわしや垢擦りにも使われていたのです。
そのヘチマ水の取り方まで、当時の図解入りで解説されていました。
この解説の仕方や、挿入されている絵がまた懐かしい感じで、
昭和前半の家庭の雰囲気を、よく現している感じです。

さらに、重曹、酢、クエン酸、などの様々な使い方が紹介され、
井戸、はんぞ、洗面器、手洗い器、手水鉢、タライなど、
家庭で使われる水の道具と流れが、わかりやすく書いてある。
その内容が、そのまんまエコに繋がっているわけですが、
打ち水、湯たんぽ、米のとぎ汁から、太陽熱温水器まである。

火と暖房に関しても、かまど、火鉢などの紹介はもちろん、
練炭炭団、豆炭、木炭などの炭の効用や使い方から、
火消壺や、釜戸に溜まった灰の使い方まで解説してありました。
桶のたが直し、下駄歯の交換、布団の打直し、瀬戸物の焼接ぎ、
どれもこれも、そう言えばあったなあ!と思い出せるのです。
そして驚くべきは、こうしたものが現在まったく見られない。
手直しして使ったものが、家の中から全く無くなっているのです。

話は進んで、みかんの皮やりんごの皮、スイカの皮の利用法など、
様々な廃物利用方法が紹介されているのですが、はたと思ったのは、
りんごの皮など、残留農薬などの心配はないのだろうか?ってこと。
農産物は、捨てるところ無く食べると考えて出荷されているのか?
あらためて、規格がどうかも知らない、食の安全も気になります。

夏のカヤ、冬の豆炭、障子の張り方、糊の作り方、ほうきの使い方、
読んでいると、幼かった子供の頃の情景までが浮かんできて、
今では無くなった、縁側で過ごした時間の不思議な味わいも蘇る。
現代の食生活で一番多くゴミとなるビニールやペットボトルは無く、
買い物に行くときは、マイバッグどころか、鍋や瓶を持っていった!
家事にさえ、子どもにも役割があって、嬉しかったりしたのです。
この本を読めば、どんな歴史本より昭和時代がわかるでしょう!

でもって、僕らはその当時に比べて格段に便利な暮らしになって、
はたして、それで本当に幸せになったのかどうかがわかりません。
40年間に、得たものより失ったものの方が大きいように思うのは、
僕だけの偏見によるのでしょうか?


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