「地球が静止する日」

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「チェーン・リアクション」以来、キアヌ・リーブスの作品は好きで、
マトリックス」シリーズや「コンスタンティン」などの出演作品は、
その都度、人間の本質を探るようなテーマに心を惹かれて観ていました。
そして今回「地球が静止する日」は、1951年に出版された原作をヒントに、
映画化したと聞きましたので、僕が生まれる以前に作られていた物語です。
そんな古い話が、今の時代にどのように通じるのか、気になりました。

ちょうど高岡のマイカルが、夕方6時以降の上映は1000円になるので、
しかも昨日、金曜日が初日でもあったので、18:10の回を見に行きました、
初日だというのに、館内はガラガラで、これは作品に人気がないのか?
それともマイカル高岡が閉館間近なので、人が離れていってしまったのか?
寂しい気もしましたが、ゆったりと良い席で見られたのは嬉しかったです。

さて映画の方は、地球を滅ぼしかねない人間をどうするかを決めるため、
宇宙のどこかから、まず内偵が来ていて、その判断を聞きに来たのが、
キアヌ・リーブスが演じる宇宙人!クラトゥ、という設定で始まります。
内偵に来ていた男の判断は、やっぱり人類は地球を滅ぼそうとしている!
との結論で、クラトゥはさっそく人類を滅ぼして地球を救う作業を始める。
それを知った、ジェニファー・コネリー演じるヘレンと、その息子が、
圧倒的な力を持つクラトゥに、人類を助けて欲しいと懇願するのです。

多様な生物が生きられる、数少ない惑星としての地球を守るために、
破壊者である人類を滅ぼそうとする、平和の使者としてのクラトゥは、
人類が滅ぶかどうかは、人類の生き方にかかっていると説明します。
クラトゥが連れてきた無敵のロボット兵器は、敵意を持って攻撃されると、
自動的に反応して相手を破壊し、さらに自分は強く大きくなっていく。
この優れた発想は、僕は子どもの頃に鉄腕アトムで見た気がしますが、
きっと手塚治虫も、かつてはこの物語から、着想を得ていたのでしょう。
この着想こそ、今回新たにリニューアルする価値だったに違いありません。

それどころか、この命題は、今の時代にますます現実味を帯びてきている。
人類は、クラトゥのような宇宙からの使者が来ようと来まいと、自らの力で、
自らが生きられる唯一の場所である地球を、危ういまでに破壊してきました。
大量生産と大量エネルギー消費によって、自然環境の破壊が大幅に進み、
人類自身が考えをあらため、平和で調和の取れた生き方を身につけないと、
もはやそう遠くない将来に、奇蹟の美しい星と人類は、滅びかねないのです。

たかがハリウッドの映画に、そこまで考える必要はないと思う人には、
そこまで考えたから、多くの人がこの映画を作ろうとしたのだと断言します。
見るものを驚かすスペクタルも、理由があるから人は驚かされるのです。
たしかに、ヘレンに心を動かされるくらいなら、最初から滅ぼそうとするな!
なんてことも言えるかも知れないけど、そんなアラ探しに意味はありません。
大切なのは、子どもらの未来は僕らの選択にかかっていると言うことなのです。

破壊的な大量生産と大量消費よりも、調和の取れた循環型の生活こそが、
人類の未来にとって、大切な選択であると伝えているのだと受け取りました。
やっぱり、期待通りにすばらしいメッセージを持つ映画だったのです!