自給自足は?

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春の種下ろしから始まった米作りで、秋の収穫最後の作業は籾摺りです。
僕らの自然農では、ほとんどの農作業を手作業でやっているのですが、
この籾摺りだけは、電動の籾すり機に頼らないとうまくいきません。
そこで最初の何年かは、知り合いの農家でやらせてもらったのですが、
大勢の人が多種品目で作っている米なので、大きな機械にちょっとずつ、
しかも不慣れな素人が唐箕がけしたものだから、藁クズの混入も多い。

結局は、農家にある大型籾すり機では手間暇ばかりかかって迷惑なので、
自分たちで小型の電動籾すり機を導入することにしたのが、4年前でした。
生涯使うものとして、自分で一台購入することも真剣に考えましたけど、
わずかな量しか作っていないので、仲間と共有して使うことになりました。
こうして米作りの全行程が、自立的にまかなえるようになったのです。
その大切な籾すり機が、このミニダップという小さな電動の機械です。

遠心力で叩きつけて籾を割るので、お米も壊れる可能性が高いのですが、
それを言えば、瓶で突こうが木槌で叩こうが米も壊れるのは一緒です。
ベルト式の大型籾すり機でないと、ある程度の米は壊れるものですから、
最初からそんなものだと思っておけば、特別問題も無いことでしょう。
むしろ不完全だからこそ、感謝の気持ちが沸いてきたりもするのです。
そんなことを考え、秋晴れの日の農作業は気持ちがいいものでした。

来年使う種籾用に、すべての種類の米を少量ずつ袋に入れて確保して、
そのほかは全部籾摺りして、僕は基本的にこの米は全部玄米で食べます。
今から来年の梅雨頃までの米は、こうして自家製の米を玄米食にして、
精米の方が食べやすい夏の間だけ、市販の米を買って食べているのです。
そう、実はまだひとり分の米さえ自給自足にはなっていないのですが、
なにしろ自由に使える土地がないのですから、これが難しいのです。

砺波平野一帯は、全国的にも散居村の発達した地域として有名ですが、
大きな屋敷林に囲まれて、米から野菜や果樹、キノコ類まで自給出来る、
これほど豊かな暮らし方は、世界中の歴史的にも稀に見るものでしょう。
屋敷林の木立は、そのまま燃料にもなり、家の建材にもなっていきます。
さらには家周りに水路を巡らし、流れを動力に使って、魚も養える。
この豊かさを放棄して、何でもお金に頼る貧しい人が増え続けました。