オバマ新大統領の「CHANGE」

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いよいよアメリカの新大統領は、オバマさんに決まりそうです。
マスコミ報道を見る限り、オバマさんは低中流所得者に目を向けて、
これからは社会福祉政策を中心に、政策を練っていくようですので、
海外への軍事侵攻や環境破壊は、縮小されると予想できます。
しかもアメリカ大統領にオバマさんが選ばれると言うことは、
そうした表面的な転換ばかりではなく、もっと根深い問題として、
アメリカの、あるいは世界の人権問題に光を当てることになるでしょう。

多くの人は忘れているかも知れませんが、アメリカはほんの60年前まで、
公然と人種差別が行われた国であり、その流れは今も続いています。
僕自身も、30年ほど前にアメリカで暮らしたことがあるので、
オバマさんが演説の中で、白人も黒人もスパニッシュもアジア系も、
みんな同じアメリカ人だと、わざわざ言わなくてはならない状況がわかる。
この人種差別は理屈ではなく、拭いきれない過去からの感性なのです。
感覚を知りたい人には、映画「アメリカン・ヒストリーX」をお勧めします。

この現実の中で、黒人系のオバマさんが新しい大統領になるには、
単に共和党民主党と言った政策以上に、乗りこえるハードルがあった。
事前調査の支持率で、いかにオバマさんがリードしていようと安心出来ない、
白人に根強くある黒人への不信と、黒人に根強い政治への不信があって、
それぞれの不信を、希望へと転換させる作業が不可欠だったと言うことです。
彼は自らが何を担っているかを知っていて、選挙運動でそれをこなした。
これがオバマさんの「CHANGE」だったと言っていいでしょう。

4年前の大統領選挙で、ブッシュ大統領が再選を果たしたときは、
世界に正義はないのか!と失望した人も多かったと記憶していますが、
当時の民主党ゴア候補が、ブッシュ大統領に破れたのはなぜか?
今になって思えば、ゴア候補では担うものが足りなかった気がします。
もともと多くの人は、自分で意識しないまま惰性で暮らしていますから、
根底から価値観がひっくり返るような、大きな選択肢が登場してこないと、
新しい選択肢を選ぼうとはしないものだと、推測されるのです。

ゴア候補は、その後「不都合な真実」で脚光を浴びるのが役割で、
今年の大統領選挙では、満を持して大変換の選択肢が登場したのです。
富裕階層から低中所得者を主役にする政策の大転換はもちろんですが、
表立って話題に出来ない、人種差別に対する克服が争点でもあったのです。
これを克服出来たとすれば、この事実が新しいアメリカの可能性となる。
今までのような、一部富裕層だけののアメリカンドリームではなく、
世界へ発信する人権と共に、本来の底力を発揮するようになるでしょう。

日本では次回の選挙で、あまりにもひどい自民党政権が倒れるとしても、
次の民主党政権には、期待するものがまだ見えてこないのも現実です。
オバマさんと違って、小沢さんには変革する新しいものが見えないのです。
ゴアさんの教訓が、いくつもの具体的な問題提起をして転換への気運を高め、
それを踏まえたオバマさんが、問題の本質をさらけ出して選択肢を作った。
日本の政治シーンにおいても、小沢さんは一つのステップになれば、
やがて新しい人が、本質的な大転換を表現出来るのかも知れません・・・


写真は「アメリカンヒストリーX」からのもの。

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