「20世紀少年」

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このところ日本の映画界の話題と言えば、
崖の上のポニョ」と「おくりびと」が中心です。
両方ともいい映画だと思うのですが、その他に、
良いのか悪いのかわからないけど気になる映画として、
「20世紀少年」を、誘惑に駆られて見てきました。

この原作は、1999年から2007年にかけて描かれた、
累計発行部数 2,000万部という浦沢直樹の長編コミックです。
僕もそのマンガを何度か見て、気になっていたのですが、
劇場で予告編を見たときから、必ず見ようと決めていました。
一見奇想天外ながら、僕らが子どもの頃から感じていた、
正義とか、政治とか、友達とか、家族とかが何を意味するのか、
独特な感覚で、ある種の別の視点から、ハッとさせる!
それを最新の特殊効果を駆使して、映像化しているのです。

予告編で感じた通り、この映画の特殊効果はこなれています。
どこからが特殊映像かわからないほど自然に見せていて、
日本の特殊効果技術もここまで来たかと感心させられました。
しかも演じる俳優人が、ズラリとお茶の間の人気者で、
これがちょい役で次々に登場しては入れ替わっていくのです。
それだけでも見ていて飽きないし、時間を感じさせないのです。

フランス、イタリア、スペインなど、世界12カ国で翻訳され、
コミック界の賞も取って、映画化が望まれていましたが、
あまりに長編で、しかも長い年月を描いた作品なので、
とても実写映画には出来ないだろう!とされていたのです。
それを、60億円の制作費をかけて、3本の映画にすることで、
みごとに作品全編を、実写による映画にしたと聞いています。

さてこの映画、原作のコミック的な魅力を損なわないために、
通常の劇映画とは違う、独特のテンポと惚けた現実感で、
一見バカバカしい場面でさえ、見応えのあるものにしている。
そんな馬鹿な!と思うことが、子どもの頃の予言によって、
なぜか辻褄が合って、その謎解きに引き込まれていくのです。
物語に関しては、荒唐無稽なのに面白く感じられるのは、
現実の社会に起きる事件がちりばめられているからで、
奇想天外でいながら、内面の真実さえ醸し出しているのです。

今回は第一章として、2時間半の映画でしたが、
来年新春には第二章が、秋には第三章が公開される予定で、
全編で8時間近い作品は、テレビ番組の1クルーに匹敵します。
いずれDVDとしても、長く売りに出されるでしょう。
これは優れた作品と言うより、優れた商品として見ればいいし、
描かれたのは、20世紀に少年だった僕らそのものなのです!


浦沢直樹のコミック「20世紀少年」は、(↓)こちらから。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091855318?ie=UTF8&tag=isobehon-22