「遠くの空に消えた」

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夏休みらしい映画を観たいと思って選んだのは、
去年公開された、行定勲監督の「遠くの空に消えた」。
空港の建設計画で存続が危ぶまれる馬酔村での出来事を、
ファンタジックに描いたとされる作品でした。

世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督が、
7年間温め続けたオリジナル脚本を映画化したもの!
と言われても、その映画を観ていない僕にとっては、
期待して肩すかしを食いたくないと思っていたのですが、
これが何とも僕には面白くて、嵌ってしまいました♪

物語全体が、ありそうであり得ないシチュエーションで、
登場する人は、大人の世界と子どもの世界がダブっているし、
それぞれのファンタジーが、実在する人間を描いている。
舞台になっている場所も、夢と現実が交差するに相応しい、
なんとも不思議でいながら、しっかり現実でもあるのです。

見る前は、昔からある子供の冒険を描いた作品と思い、
「僕らの7日間戦争」や「台風クラブ」を連想していたのに、
これはもうちょっと大人の世界でもあって、何かが違う。
むしろフェリーニの映画を観るような錯綜感もあって、
それがなんとも良い味わいを感じさせてくれるのです。

一般的には分断されがちな、大人の世界と子どもの世界が、
この作品では時間的にも場所的にも渾然一体としていて、
そこに縮こまらない、のびのびとした心の世界がある。
その広がりは空間にも伸びて、映像も美しいのです。
ストーリーよりも大切な何かが、確かに味わえました。

便利になった現代社会に、失われつつあるものが何か?
この作品はそうしたものを取り扱いながら、堅苦しくなく、
見る者を、懐かしい空想の世界へ連れて行ってくれる。
やっぱりこの監督は、ただ者ではないようです。


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