原子力と麻薬とおカネ

人間の破壊力はとても大きなものになりました。
千年前には、大自然を破壊するなど想像も出来ないことで、
人はその圧倒的な循環に身を寄せながら生きていたのでしょう。
ところが百年前には、大規模な破壊改修が出来るようになって、
今では不可逆的な消費という名の破壊活動が広まっています。
それをもっとも合理的にサポートするのが、お金でしょう。

多くの人は、お金には良い面と悪い面があると言います。
お金そのものに問題があるのではなく、使い方次第だと言う。
良いことに使えば役に立つし、悪事に使えば問題を起こすのだと。
はたしてそんな単純なことなのか? 僕は疑問を持っています。

たとえば原子力や麻薬の適正利用を考えるとわかるのですが、
原子力は誰かが使い方を間違えるだけで、強大な破壊力を持つ。
麻薬は一見人を元気にするけど、コントロールを失ってしまう。
そのいずれも、メリットを遙かに超えるデメリットを持っています。
だからこそ、選ばれた人の厳重な管理の下にあるのです。
ところが同じように危険なお金に関しては、誰でも自由に使える。
これが世界中に様々な破壊活動を広めている原因でしょう。

実はお金には、世界中の風景を変えてしまう破壊力があって、
しかも強い執着と依存を生みだす、中毒性があると知ってください。
こんな危険なものが野放しでいいはずがないから、それぞれの国は、
通貨を国家で管理することが、歴史的にも常識になっていたのです。
ところが、米ドルを中心としたグローバル通貨はそうではない。

自由には責任があるなら、資本にだって責任があるでしょうに、
グローバル資本通貨は、利益追求を第一義として憚りません。
資本家に対する利益供与だけが、金融マネーの責任なのですから、
おカネはおカネを生みだす方向へ、際限なく供給されるのです。
原子力と同じ破壊力を持って、麻薬と同じ中毒性のあるおカネが、
こうして世界中に蔓延し、人々の心と生活を蝕んでいるのです。

そして多くの伝染病がそうであるように、破壊の限りを尽くし、
破壊するものが無くなったときに、ようやく猛威は収まるでしょう。
ありとあらゆる言い訳をして、経済の名の下に破壊は続くなら、
僕らはそれをただ見ているより仕方がないのでしょうか?
必ずしもそうではない、新しい価値観と道筋も見えています。

それは特別難しいことではなく、百年から千年に視野を広げ、
人の幸せとは何かを知って、おカネではなく幸せを求めればいいだけです!

マスコミのCMに惑わされて、価値観を都合良く操作されずに、
みずからが持って生まれた五感と五体を信じて味わい、活かすこと!
そんなあたりまえのことを、実行すればいいだけなのです。
なるべく身の回りに、そんな自然に暮らせる人と繋がりを持って、
麻薬や原子力やおカネの誘惑に、惑わされずに生きたいものですね!