「クリスタル・スカルの王国」

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ルーカス&スピルバーグによる、インディ・ジョーンズ第4作、
クリスタル・スカルの王国」を見てきました。
一言で、これはスピルバーグ映画の集大成のような作品でした。
それは決して悪い意味ではなく、彼の映画を見続けた人なら、
この作品の随所に、彼のヒット作の面影を見るはずで、
何か懐かしい、人生を振りかえるような味わいがあったのです。

と言っても、これで初めて彼の作品を見た人にとっても、
この映画は決して退屈することなく、最後まで夢中になれる。
007シリーズを超える冒険映画を作ろうとした当初の意図は、
そのまま、この作品にも十分に息づいているのです。
しかもただの冒険活劇ではない、スピルバークの作品はすべて、
かならず深い人生哲学のようなものが隠されていて、
この作品では、ロシアの女工作員の動機に読みとれます。

ケイト・ブランシェット演じる、この女工作員は、
なぜクリスタル・スカルを欲しがるのか?が興味深いですね。
彼女はその力を目の前にして、命の危険さえも顧みずに、
「真実が知りたい」と願って、身を滅ぼしてしまいます。
この真実とは、クリスタル・スカルの力の源のことでしょうか。
それに比べて、カレン・アレン演じる女性の人間味にこそ、
スピルバークが求め続けた、人間としての価値がうかがえます。

カレン・アレンが「失われたアーク」に登場してから27年。
そのあとインディ・との間に男の子が生まれて、成長して、
「クリスタル・スカル」に登場する、なんてストーリーは、
実際の年月と共に、スピルバーグの家族に対する思いもある。
彼は私生活で、養子を含めて7人の子供がいますが、
多くの作品の中で、少年が重要な役割を果たしています。
その少年が成長して、この作品では新しい世代として登場する。

どうやらスピルバーグは、自分の人生を振りかえることで、
そろそろ一つの時代が終わることを感じ取っているのでしょう。
この作品のトップに、アトミック・カフェが出てきたことや、
クリスタル・スカルの正体が、実はETの正体に繋がっており、
未知との遭遇」を思わせる結末の付け方など、
長年のファンに、それぞれの人生を振りかえさせるのです。

息つく暇なく、見るものを冒険の世界に引き込んで、
この映画は間違いなく、世界中で大ヒットをするでしょう。
だけど「クリスタル・スカル」は去っていく世代を表している。
僕らはこの次の世代に何を見るのか?
映画館をあとにしながら、そんなことを考えました。



インディ・ジョーンズ」シリーズ過去の3作品が、
2008年8月末までの期間限定で、セット販売(↓)されていますね。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0015U3N5S?ie=UTF8&tag=isobehon-22