「大いなる陰謀」

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日本のマスコミでは、あまり話題になっていないので、
観客の入りも少ないのかも知れませんが、いい映画でした。
テロとの戦いが長引く中、様々なウソが発覚するアメリカで、
今何が起きているのかを、うまく表現している映画です。

政治家の欺瞞をこれほどリアルに扱うことにも驚きますが、
ロバート・レッドフォードが監督をして、トム・クルーズ
メリル・ストリープと言った大物俳優を起用することによって、
軽々しくないアメリカの現状を、見事に表現しています。

将来有望とされる、一人の政治家が画策した、
アフガニスタン情勢を打開する軍事作戦が実行される。
その戦争を勝利するには、世論の後押しが必要だとして、
ジャーナリストに作戦の内容を話し、協力を求める。
〈大学では〉
優秀な苦学生が志願して戦場へ行くのを止められない教授の苦悩と、
それを欺瞞と受け止めて、政治に興味を失っていく裕福な学生がいる。
〈戦場では〉
命令に従うしかない軍隊の中で、無謀な作戦が遂行されるために、
作戦は失敗して、優秀な若者が敵の中に取り残されて命を落とす。
〈マスコミでは〉
話を聞いたジャーナリストは、その作戦に疑問を捨てきれず、
政治家への協力を躊躇して、思い悩んだまま記事が書けない。

普段から今の社会情勢を気にしている人には、目新しくはない、
911事件以降にアメリカが始めたテロとの戦いがどうなっているか、
政治家、ジャーナリスト、大学教授、そして戦場へ行った学生、
今の政治を欺瞞と考えて戦場へは行かない学生の考えを表現している。

この軍事作戦は明らかに失敗なので、アメリカのテロとの戦いに反対、
ないしは疑問を持つ立場から、製作された映画であることは間違いない。
ここにはいくつもの懐疑と苦悩が込められているのですが、
僕が一番気になったのは、こうした現状に対して学生が抱いている、
政治家もジャーナリストも指導教官も、みんな欺瞞ばかりじゃないか!
と思うしかない、若者たちのウンザリした気持ちなのです。

アメリカのこの倦怠感は、その価値観を引きずる日本も同じことで、
その意味でこの映画は、軍事に絡むからとて、日本と無関係ではない。
政治の欺瞞に対するウンザリした倦怠感は、まったく同じと言えるのです。
アメリカ型グローバルスタンダードとして見ておくのもいいかも・・・