民主主義とは?

毎年新春には、見応えのある特集番組がいくつもある。
今年は環境にまつわる特集番組が多いことは予想されたけど、
そんななか、NHKで放送されている「民主主義」は見応えがある。

アメリカ流民主主義が世界の民主主義なのか」という疑問から、
世界各地42の放送局が協力して、500以上の企画を審査し、
それぞれ違った視点を持つ10カ国10人の監督が、
10本の番組を制作して問い掛ける。

「民主主義とは本来どういうものだったのか?」
「貧困に苦しむ人々にとっての民主主義とは?」
「民主主義は本当に必要なものなのか?」
「21世紀の民主主義の形とは?」と問い掛けるのです。

すでに11月から12月に、BSでオンエアされた番組なので、
全部見た人も多いのでしょうが、僕は総合放送での特集で、
1月2日から6日にかけて深夜に放送されているものを見ています。

内容的には、どの番組も優れたもので、見る価値は十分にありますが、
前半で5本見た番組の中で、強く印象に残ったものがありました。
それはロシアが作った番組で、「愛国者の村」と題されたものでした。

ペレストロイカ以後に、自信を失っていたロシアの人々に対し、
「民主主義なんかいらない」と公言して、国を建て直そうとする、
ひとりの億万長者の実業家モロゾフが始めた「愛国者の村」の話です。
天の神と地の皇帝(大統領)に絶対服従しての、国造りを訴える。
そこへ集まる人々は、どこか卑屈に見えるけど、善良そうなのです。

人々は何を求めて「愛国者の村」に集まってくるのか?
モロゾフが言うように、民主主義では人は幸せになれないのか?
ここには、急激に民主化を進めたために、考えの追いつかない人がいる。
そう考えてしまっていいのか、あらためて民主主義を問うのです。

ロシアにおけるプーチンの人気は、不気味に思うこともありますが、
それでも彼は、間違いなく混迷した国を建て直して国民を勇気づけた。
ボリビアでもリベリアでも、強い指導力を持ったリーダーによって、
それまで混乱していた民主主義の政治が、収拾に向かっている。
それどころか欧米や日本でさえ、強いリーダーシップが求められる。

民主主義と強い指導力は、どのような関係であればいいのか?
たぶんこの問いに、普遍的な解答などないのかも知れない。
そしてあらためて、人間の政治とは何か?と考えずにはいられない。

これだけ内容の深い番組であれば、明日、明後日で、残り4本も、
深夜ではあるけど、しっかり見ておきたいと思うのです。