「おカネで世界を変える30の方法」

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この20年間で、日本人の価値観は大きく変わりました。
バブルの頃は、まだその変化に気付く人は少なかったのですが、
その後に始まった景気低迷の間に、失ったものに気付くようになる。
いつのまにか日本人は、おカネ以外の価値観を見失うほどに、
おカネに振り回される、心貧しい生活をするようになっていたのです。

世界では、ドイツのシュマッハーによる「Small is Beautiful」や、
イリイチによる、コンビビアルな道具を見直す動きなどがありました。
そして、作家ミヒャエル・エンデは、亡くなる前年の1994年に、
NHKのインタビューに答えて「新しい貨幣システム」を提案しました。
それが、番組「エンデの遺言―根源からお金を問うこと」として、
1999年に、NHK-BS放送(NHKスペシャル)で流されました。

当時の日本でも、利子によって増えるおカネに疑問を持った人たちが、
1995年頃に富山県のコインゼミ(小院瀬見)で勉強会をしたり、
翌年にはもう北斗出版から「エコバンク」という本も出版されたりと、
新しいおカネを模索する活動がなかったわけではありません。しかし、
企業、マスコミ、行政を巻き込んだグローバルキャンペーンの嵐で、
その後の10年は、おカネが信仰されるまでに絶対的価値になりました。
その真ん中で、「エンデの遺言」はオンエアされていたのです。

僕はこの番組を、当時は見ておらず、ただおカネ社会に嫌気が差して、
ちょうど自律神経がおかしくなったのを機に、東京での仕事を辞め、
富山へ引っ越して、のんびり暮らしを始めた年でもありました。
ところが2年後の2001年の9月11日に、NYテロ事件が起きると、
その原因がグローバル経済を柱とした、おカネの問題だと気付いたので、
どんな田舎暮らしをしていても、戦争に巻き込まれる可能性があると感じ、
そうでない社会、問題を起こさない社会を求めて自然農を始めました。

こうして2002年以降は、富山県ではまみあな活動に参加し、
東京では日本自立プロジェクトや、フィロソフィア、平和映画祭など、
様々な活動に参加して、古民家再生や地域通貨にも挑戦したのです。
その間ずっと、問題の本質は「おカネ」だとわかっていても、
多くの市民活動は、貧困の問題を政治の問題としか認識しておらず、
特に富山では、利子のあるマネー経済自体が問題の本質だとは、
市民活動家のほとんどは、まだ気付いていなかったように思うのです。

それでも辛抱強く月日は流れ、地球温暖化での環境保護の意識や、
原子力発電の是非を問う運動や、そして大地震による原発の恐怖など、
大企業や政府が押し進める経済政策に疑問を持つ人が増えてきて、
この国が抱える800兆円の借金こそ、貧富の格差を作っていると知る。
そんな気運がすっかり高まってきていたのですが、その全体像は、
依然として捉えがたく、全容を見せてくれる平易な本はありませんでした。
ところが今回、満を持したように、一冊の本が出版されるのです。

僕はたまたま販売日よりも先駆けて読ませていただきましたが、それが、
2008年1月25日発売予定の「おカネで世界を変える30の方法」です。
この本には、メガバンク郵貯の貯金が戦争資金になっていることや、
公共事業に何故無駄遣いが多いか? 途上国援助が何故貧困を生みだすか?
借金大国のアメリカが何故経済大国でいられるのか? などの国際問題から、
オール電化住宅は本当に環境によいのか? NPOバンクとは何か?
なぜ働いても働いても楽にならないのか? 信用取引の何が問題なのか?
マイクロクレジットとは? 企業の社会的責任は? 地域通貨とは?

こうしたおカネにまつわる、ほとんどあらゆる話題が網羅されて、
どのように解決していけばいいかの、ヒントを与えてくれているのです。
しかもそのヒントは、専門家やタレントにありがちな卓上の理論ではなく、
書いている人たちが、すべて実際に活動されている経験者であることで、
問題の本質を見失うことなく、挑戦する価値のある提示をされている。
30もの項目は、それぞれ独立して、詳細までは書かれていませんが、
おカネ社会の何が問題なのかは、全体としても個々の問題としても、
おカネに洗脳された初心者にも、十分わかるように書かれているのです。

この絶大な信仰としての「おカネ」と、どう向き合っていけばいいのか?
カルト教団そのままに、おカネを巡っては殺人も戦争も辞さない人がいる。
この危険な信仰を、そのままにしておいていいわけがないのです。
この本はその魔法を分析してみせることで、魔力を取り除いてくれます。
この本に書かれている30項目は、どこから読んでもかまいません。
どの項目も、何のことかまったくわからないとすれば、重症です。
一つでも二つでも納得できる項目があれば、もう少し読んでみてください。

そうすれば、きっと何かが晴れるでしょう。
その何かは、おカネよりも人を幸せにしてくれるのです。


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