「子どもにいちばん教えたいこと」

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教育に問題があることは、いろいろと指摘されていますが、
それではどんな教育が、子どもにとって理想の教育かと言えば、
これがなかなか難しいのか、コモンセンスが得られていません。
最近の日本では、ペーパーテストの点数が下がったとか、
大人の言うことを聞かない、切れる子が多いとか言われて、
逆らわないでよく働く「人材育成」の教育が進められてもいます。
また人の差別化を進める学校選択制度さえ推奨され始めている。

そんな時代の状況下で、危機感を抱く人も多いのでしょう。
ブログ上でも、教育関係の意見をアップする人は多いのですが、
僕は正直言って「これだ!」と思える記事に出会ったことはない。
したがって学校教育そのものにさえ疑問を持っているので、
むしろ「学校へ行かない」選択に共感を覚えたりしていたのです。
だけどこの本を読んで、教育の魅力とチカラを再認識しました。
レイフ・エスキスの「子どもにいちばん教えたいこと」です。

すでに実践されて成果を上げ、今も継続している56番教室。
日本で言えば、小学校の高学年クラスを受け持つ教師エスキスが、
ロサンゼルスのダウンタウンにあるホバート小学校に赴任して、
22年間の試行錯誤で成しえた教育と、その成果が書かれています。
「子どもを最大限に伸ばす方法」など、口で言う人は多くても、
ほとんどの人はうまく行かずに、断念してあきらめてしまう。
エスキスは、最初は同じように失敗しながら、あきらめなかった。

それどころか、うまく行かない理由を考え、工夫して克服する、
その過程そのものが教育には大切だと気付いて、確信していきます。
生徒の失敗を非難しないで、何故失敗したかを自分で考えさせて、
それを克服していくチカラを、子どもたちに身につけさせていく。
教育にとって一番大切なのは、問題を認識して克服していく、
そのプロセスを、しっかり身につけさせることだと教えています。
これは如何に言うが安く実行の難しいことか!誰でも知っている。

そうです、この本には、その誰でも知っている理想に対して、
そんなの無理だ!そんなの関係ない!理想と現実は違う!と言わず、
様々な工夫をして実現してきた、そのノウハウが詰め込まれている。
そして彼は、毎年こどもたちだけで上演するシェークスピア劇で、
小学校教師としては初めて、米国芸術大賞を受賞するのです。
それは演ずることがうまいのではなく、上演までの過程を含めて、
子どもたちに、人生を善く生きるノウハウを教えた成果なのです。

読書を大切にし、ブック・リポートを書かせ、本まで作らせる。
「数タイル」や「ブー・ゲーム」を工夫して、算数を楽しませる。
地理や歴史はゲーム感覚で知識を増やし、映画などで確認する。
理科の実験室では、失敗から学んで修正するノウハウを実体験する。
体育から学ぶべきは、目的を持ち、皆で協力して実現する経験。
さらに将来に向けて、おカネの使い方まで身に付けさせていく。
これらはすべて、人間としてどうあるべきかを目指している。

高校生や大学生なら考える内容だ!と思うかもしれませんが、
こうした教育(学ぶ)に対する基本的な態度は、小学生にこそ大切で、
これさえ身につけていれば、どんな高等教育も自力で克服していく。
それがこの本でエスキスが訴えていることだろうと思うのです。
そして彼はそれを実践して、ダウンタウンの多くの子どもたちを、
名だたる有名大学へ進学していく基礎を築いてきたのです。
今の教育を疑問に思うすべての人に、この希望を読んでみてほしい!


レイフ・エスキスの「子どもにいちばん教えたいこと」は(↓)こちら。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4794216599?ie=UTF8&tag=isobehon-22