奥田瑛二監督作品

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去年の秋に見た「長い散歩」がとても良かったので、
奥田瑛二監督に興味を持ち、他の作品も見てみました。
彼の監督デビュー作品公開は、2001年の9月29日、
新人・小沢まゆ主演による「少女」というものでした。
これってNY911事件から間もなくでもあり、
僕は既に富山の田舎に引っ越していたので、
こんな映画が公開されていたことも知りませんでした。
しかし見てみると、これが期待以上にすばらしい!

田舎町の下っ端中年警官と、中学生少女の恋愛関係だなんて、
うっかりすると三流週刊誌のゴシップ記事にしかならない。
ところが奥田瑛二にかかると、不思議な美の世界が広がる。
物語は下世話で入り組んでいて、道徳のかけらもない展開に、
なぜか否定できない、人間としての魅力を感じるのです。

そして二作目は、がらりと毛色が変わって「るにん」です。
こちらも下手をすると興味本位の三流ネタなのに、
そんな状況に追い込まれた人間の本性の中に見える救い、
表面的な癒しではなく、深く魂に訴える救いの感覚がある。
しかも時代考証や映像が緻密にできていて、美しいのです。

こんな作品の延長に「長い散歩」があったのだと知れば、
やはりこの監督の豊かな才能を、賞賛せずにはいられません。
それはうまく言葉にはならないのだけど、妙に日本的で、
泉鏡花永井荷風谷崎潤一郎といった古い文人の香りがするし、
今村昌平にも通じる、人間への深い思いもを感じるのです。
こうした作品が、国際的に認められているのも嬉しいですね!
今年の秋には新作「風の外側」の公開が予定されているようで、
今からもう、それを見るのが楽しみに思えます。

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