「農!黄金のスモールビジネス」

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元は通信機器メーカーで研究開発の仕事をしたあと、
半導体メーカーで営業総部長をされていた杉山経昌さんが、
十数年前に会社を辞めて農業を初めてからのことが書いてある。
しかしこれは、単なる第二の人生論などとは大きく違います。
日本における農の魅力を、これほどうまく表現した本は珍しい。
これは小規模経営としての農を、生き方として捉えた秀作本です。

まずこの本が対象としている読者はサラリーマンであり、
会社に使われて自分の時間が持てない生活に嫌気がさしたとき、
「ゆっくり夕日を眺めて暮らしたい!」と感じたら読んでほしい。
今まで会社員として身につけたノウハウを活かすことによって、
土着の農業人とは違った発想と視点で、新しい農の姿が見えてくる。
この新しい視点が、旧来からの農と接点を持ちながら育つときに、
誰にも支配されず、自由な裁量で楽しめる生き方が出来ると言う。

僕は大きな経済活動を嫌って、自給としての自然農を始めましたが、
杉山さんは自由で創造的ビジネスとして、農を捉えています。
しかも21世紀型の価値観として、積極的に肯定しているのです。

〈20世紀の価値観〉 → 〈21世紀の価値観〉
○朝から晩まで働く  →  ゆとりを持って働く
○高額消費こそ美徳  →  物を大切にする
○時間を犠牲に金儲け →  時間こそ大切に
○何でも上昇志向   →  身の丈のものを大切に
○大量生産が良い   →  少量生産に価値あり
○マス・マーケット  →  ニッチ(個性)優先
○企業対市場の関係  →  個人対個人の関係
○広告によるアピール →  交流によるアピール
○低価格販売を目指す →  高付加価値交流を目指す
○空気・水はタダ同然 →  自然環境は自分で管理  

こうして彼の主張を見ていると、自然農にとても近い。
と言うか、僕が思う「生き方としての自然農」と同じなのです。
それを起業として捉えているところに、彼の面白さがあります。
僕のような、なるべくお金を離れて暮らしたいと考えるのとは違い、
悠々自適な楽しい農生活を提唱する彼のビジネスモデルなら、
現代の多くの人に、すみやかに受け入れられるように思われます。
この本を手掛かりに、サラリーマンを辞めてもいいかも知れません。

さらにこれから脱サラをしたり、第二の人生を模索している人にも、
この本は、実践的に何をすればいいかがわかりやすく書いてある。
◎なぜ「米農家」にはならないか。◎JAとの付き合い方。
◎自給3000円以下の仕事はしない。◎農業はサービス業。等々、
これらはすべて、サラリーマン時代に養った業務管理から見ている。
なるほど、農業を業務としてみれば、ムリ、ムラ、ムダは多いのです。
それを管理するだけで、快適田園ライフが楽しめるというわけです。

もちろん、彼も様々な失敗をくり返しているわけですが、
それでも自分の裁量で、自由に運営できることを楽しんでいる。
したがって人生を楽しもうとする意欲もない人には、農は出来ない。
さらに彼は、僕が自然農で少しずつ学んでいる様々なことを、
同じように「人生で大切なことは農で学んだ」として書いている。
僕はこの章こそ、この本の価値の神髄だと感じました。

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