「不都合な真実」

イメージ 1

友人やマスコミの評判通りに、すばらしい映画でした。
この作品は、アル・ゴアのスライド講演を一本の映画にまとめたもので、
見ているうちに、2000年のアメリカ大統領選挙を思い出しました。
金儲けのためなら大量殺戮もいとわないブッシュと接戦を演じ、
最後のフロリダ州決戦で、ゴアが負けたことによって、
その後のアメリカは911事件を皮切りに戦争状態に突入する。

当時の僕は、環境問題には深く関心を持っていたので、
自分でも「BioDome702」って近未来SF小説など書いていたけど、
アメリカでゴア候補が負けたことが、これほど大きな問題になるとは、
正直言って、まったくわかっていなかったし、知識もなかった。
この映画を見て、どうしても、ゴアが大統領になっていれば!
と思わずにはいられなかった、それほどアメリカの政策は大きいのです。

映画の内容については、すでに多くの人が知っているでしょうけど、
製作したパティシパント社のジェフ・スコルの情熱もあったのでしょう、
ゴアが訴えようとする内容に加えて、映画的な魅力も加わっている。
それはゴアのスライド講演で取り上げる内容は数値が多いのに、
映画ではスクリーンの大画面を使って、圧倒的映像で見せてくれる。
この映像による視覚的効果は、強い説得力を持っている。

さらにこの映画は、たんなる地球温暖化の警告だけではなく、
何故ゴアがこの問題に深く関わるようになったのかも描かれていて、
そこには多少の演出が含まれているとしても、共感できるものだった。
特別偏執的な学者が、こと大袈裟に不安を煽っているわけではない、
ごくノーマルな感覚を持った人間が、これではいけないと思ったときに、
自分に何が出来るかと考えた、その延長上に大統領候補もあったのでしょう。
彼が大統領になっていれば、911事件もなかっただろうと思っている。

この映画には、ショッキングなシーンもたくさんあって、
初めて知った人によっては、絶望的な気持ちになるかも知れないけど、
彼は決してあきらめてはいないし、その気持ちは僕も同じです。
上映には予想以上に大勢の人が見に来ていて、僕の隣にいた若い男性は、
映画の終わり頃に、静かに泣いているのが気配でわかりました。
実は僕自身も、何度も目頭が熱くなっていたのです。

「祈りは行動を伴わなければならない」
最後のテロップの中で、どこかの原住民族の格言として紹介された言葉。
この精神にしたがって、この映画を見終わって始まるものを促される。
「温暖化問題に変化をもたらすため、私たちに残された時間は多くありません。
 でも、まったくないわけではありませんからね」
インタビューで答えているゴアの言葉は、真実だと思う。

不都合な真実」を本で読みたい人は(↓)こちらから。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/427000181X?ie=UTF8&tag=isobehon-22