「日本の200年・上」

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中学、高校生の頃は、歴史が大嫌いでした。
なにしろむやみに覚えなくちゃいけないことばかりで、
人の名前、事件の名前、そしてその年号を覚えるばかり。
まるで記憶力ゲームのような授業とテストで、
僕の歴史に対する関心は長らく眠ったままでした。
それが最初に目覚めたのは、文学と哲学を通してだから、
政治経済の歴史などはまったく関心を持たずに生きていた。

ところがこの本を読んでいると、歴史そのものがおもしろい。
著者アンドルー・ゴードンはアメリカ・ボストンの生まれで、
ハーバード大学日本研究所所長の肩書きを持っている。
こうしたアメリカ人が、外から冷静に日本を見ているのが、
読んでいて好奇心をかき立てられる理由なのかも知れない。
もともと英語圏の読者を対象に書かれたと言うから、
日本人に対する媚びのなさが、気持ちいいのかも知れない。

僕が読んだのは、江戸の幕藩体制から立憲君主国になる百年、
これが「日本の200年・上」になるので、下巻は知らない。
まあ下巻の内容は戦争が始まってからと戦後なので、
僕としては戦争に向かう直前の20~30年間、
いわゆる20世紀初頭の日本の姿を初めて知って、
これが21世紀が始まった今の日本に似ているのが、
なんとも不思議でおもしろく感じたってこともあるでしょう。

一般市民の政治参加啓蒙と、同時に進行する抑圧統制。
農業政策の転換による農地統合と、弱小農家の切り捨て。
大企業社員の給与増加と、自由を求めて独立する零細企業。
自由と教育の奨励と同時に、言論統制による弾圧の強化。
良妻賢母を超えて、女性の社会的権利を求める活動の広がり。
こうした様々な要素が、ダイナミックに動きながら収斂する。
こう書くと、まるで現在の社会と変わらない感じです。

あまりにも多くの要素が詰め込まれている本なので、
ここに全体の要約を書いたりは出来ませんが、
特に1907年頃からの十数年間に起きたことは、
ちょうど百年後の今の生活がどうなるかを考える上で、
とても重要な何かを教えてくれている気がするのです。
その一部は、このさき僕の活動にも影響を与えるでしょう。
将来が見えないと思っている人に、この本をお薦めします。

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