夕張市から見えるもの

ブログ仲間のchiikoさんから勧められて、
2月7日付け読売新聞、井上ひさしさんのコラム、
「日本市夕張村になろう」を読んでみました。
吉里吉里人」を書いた井上さんらしい自由な発想で、
この国の政治経済のいい加減さが書かれている。

まず多くの人が思いこんでいるスケールメリットで、
なぜ市町村は合併しなければいけなかったのか?
将来の人口減少と国からの補助金減額を考えれば、
むしろ行政規模も小さくして、財政縮小が必要では?
さらに僕は、各地域での食とエネルギーの自立こそ、
これからの地方自治が目指す方向だろうと思っていたら、
去年の暮れの高村薫さんに続いて、井上ひさしさんも、
この国の異常な借金のことを言及されている。

マスコミで大騒ぎされている夕張市財政破綻では、
夕張市民一人あたり271万円の借金があるらしいけど、
実は日本国民は既に一人650万円の借金を背負っている。
さらに去年は未曾有の長期に渡る経済成長と言いながら、
この借金は減ったどころか増え続けているのです。
それなのになぜ日本国が財政破綻をしないかと言えば、
大量の外貨ドルをもっているからであって、
円の金利がドル金利より低いことによって、
辛うじて破綻をまぬがれているだけなのです。

お隣り中国はこのところのめざましい経済成長で、
気が付けば日本よりも大量のドルを貯め込んでしまい、
これは危ないと、ドル以外の外貨にシフトしています。
何がどう危ないかって、アメリカの大量借金によって、
ドル自体が財政破綻する可能性も出てきたからです。
「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」にも、
このあたりの危うい事情は指摘されています。
自民党をぶっ壊す」と威勢の良かった小泉さんは、
日本がぶっ壊れる下地を、しっかり築いていたのです。

そうした流れの中で、夕張市財政破綻を見るとき、
僕らはこれ以上財政に借金を増やしていいはずがない。
井上ひさしさんが言うように、これから先20年くらい、
美しい国どころか、小さくなってせっせと働き、
こつこつ稼ぎ、日々の暮らしを大切にしながら借金を返す」
そのくらいの覚悟がないと立ち直れない状況にあるのです。
しかし国が国なら地方自治もとんでもない政治家ばかりで、
相変わらず少しでも多くの補助金目当ての政策優先で、
特例債や市街地活性の新しい借金をしようと奔走している。

この国の政治家は中央から地方まで阿呆の集団なのか?
ところがその人たちは、しっかり選挙で選ばれている?
・・・事になっている。こうした状況に嫌気がさして、
選挙に行かない人は大勢いるわけだけど、
「No」と言わなければ「Yes」にされてしまう。
選びたい選択肢がないのなら、作るしかない時代です。
まだ共謀罪もないし、憲法もなんとか守られている、
今のうちに、政治の流れを変えないとヤバイです。