「やさしいバイオテクノロジー」

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ソフトバンク クリエイティブから出ている、
サイエンス・アイ新書のシリーズ本の一冊で、
広島大学大学院理学研究科助手の芦田嘉之さんが書いてます。
最近の生命科学の分野は、すさまじく進歩しているわけですが、
僕らのような門外漢にはわからないことが多くなっているので、
「まとめて、よくわかる」と言うこの本を読んでみました。

はっきり言って、普段の生活では使わない言葉が、
次々にたくさん出てくるので、わかりやすいとは思えません。
だけど遺伝やバイオテクノロジーに関する一通りの知識を、
少しでも広範に理解してもらおうとする意気込みは届きます。
「生命とは何か」と言った、生命科学の基本から始めて、
「DNAチップを使ったオーダーメイド医療の可能性」まで、
現代の生命科学の常識を、くまなく紹介してくれるのです。

わかりやすくするための工夫として、突っ込んだことは書かず、
分子生物学」「細胞生物学」「ゲノムと遺伝子の違い」など、
さまざまな内容を、基本に忠実に原理原則で書いてある。
あまりにもさまざまな分野や視点から書いてあるので、
素人の僕にはわからないことが、わからないままに先へ進む。
だけどその中で、今まで自分が思いこんでいたいくつかのことが、
なんだか違うらしいと気付かされたのも事実です。

例えば遺伝子と呼ばれているものは、ゲノムの一部でしかないとか、
自然交配の植物よりも遺伝子操作の植物の方が安全性が高いとか、
あれあれ?って感じの新しい知識で、見る目も少し変わりました。
「遺伝子組換え」「遺伝子組み換え」「遺伝子組み替え」の表記で、
賛成派、反対派、無知の人、と分けられると言うのも面白い。
最近話題になっている除草剤耐性遺伝子組換え作物なんかにしても、
これがいかに危険のないものかを、詳しく説明されていた。

なるほど、再三主張なさる安全性は確かにそうなのでしょう。
だけど僕が性急なバイオテクノロジーの導入に抵抗があるのは、
必ずしも安全性に問題があると思っているからではないのです。
むしろそうした合理的な考えによって自然界をコントロールする、
命の多様性を人工的に選別してしまう危険性に納得できないのです。
またいつか、思わぬ大きな問題に繋がらないことを祈ります。

「やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る」
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