一番大切なのはおカネじゃない!

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市民活動支援・協働推進講座の第2弾は、
くびき野NPOサポートセンター重嶋友子さんを招いて、
「ヒト・モノ・オカネをぐるぐるコーディネイト」
と題する講演と話し合いでした。

まず講師の重嶋さんが面白い。
挑戦的で、情熱的で、誤魔化すことをしない。
生真面目な誠実さのうえに、愛嬌が伴っているので、
だから時には話がずれていても大切なものが伝わってきて、
それによって、期待する以上の回答を受け取ったりもする。
まれに見る人間性の豊かさを感じさせてくれる人でした。

こんな人が真剣にやっているNPOなのですから、
地元上越市での信頼・評価も高くて、活動も活発です。
主な活動内容を、情報発信、NPOの連携、法人設立支援、
として、地域に根ざし、責任を果たせる、必要な存在をめざし、
新しい価値や仕組みを地域に示そうとするのです。
しかも行政などの外部に頼らず、自立を目指している。

そして彼らの一番の成果は、「NPOPRESS」でしょう。
これは日刊のタブロイド紙上越タイムズの中に、
自分たちが責任編集するページを持つというものです。
こうした取り組みは、日本中を見てもほかにはないでしょう。
実は首都圏の市民活動の仲間たちとよく話すことに、
マスコミ情報には市民活動や平和活動の紹介が少ないので、
自分たちのマスコミを持てないかという議論があります。
くびき野NPOは、思わぬ形でそれを実現していたのです。

ただし、彼らは大きな試練を抱えているようです。
それは経済活動としてのマスコミ紙面を責任編集することで、
運営費を確保するために広告収入の営業に追われるという、
一見NPOらしからぬ日常活動の実体です。
NPOはボランティアの延長としか考えない人には、
違和感のあることかも知れません。だけど実は、
自分はいかに生きるかの視点で考えたときに、
おカネから遠ざかる自然農のような生き方ばかりじゃない、
おカネを何に使うかのコントロールでの方向転換だって、
あるはずだという、大きなメッセージでもあったのです。

さらに、この講演と意見交換のすぐあとで、
今話題の日本版イグゼンプションを含む労働法制手直しに関し、
連合の関係者の人から詳しい話を聞く機会がありました。
こちらの方は、法律を直せば直すほど一般市民の首を絞める、
かといって圧倒的多数の与党の法案を阻止することもできない、
まったくのジレンマの中にいることだけが伝わってきます。
言い方を変えれば、こちらの方がおカネに縛られている。
毎日営業に追われている「くびき野NPO」の方が自由で、
労働組合はおカネに取り込まれてしまっているようにも見えるのです。