「バカはなおせる」

題名はちょっと?って感じでしたが、内容はわかりやすくて興味深い。
著者の久保田競さんは、京都大学名誉教授や日本福祉大学教授であり、
また実績として、日本のリハビリテーションの第一人者でもある人です。
この本では最後の第7部において、脳科学の歴史が解説されますが、
そこでも繰り返し述べられているように、生きている人の脳の働きは、
1975年頃から少しずつ解明が始り、その後急速に技術が進歩して、
1995年にようやく「認知神経科学」が誕生した新しい研究分野です。

その成果が数多く発表されるのは、さらに何年も後のことなので、
2000年以前の脳に対する知識は、今ではほとんど役に立たない。
そんな前知識を持ってこの本を読めば、これが最先端の知識だとわかり、
それだけでも、この本は興味深くて面白いのですが、さらにこの本は、
素人が読んでもわかるように、難しい用語は極力使わずに話が進む。
つまりは、最先端の難しい研究の中から、一般の人にも役立ちそうな、
どうすれば脳を活性化させて生きることが出来るかが書いてある。

朝起きてから夜寝るまでの生活で、何をすれば脳は活性化するのか?
頭によい食べ物話や、走ることの大切さを進化論の中で捉えたり、
ゲームは?、読書は?、睡眠は?と具体的に脳との関係を検証する。
さらには年代別に、3歳までにはどんなことをしておけばいいかとか、
4歳~15歳までにやっておけばいいことや、やるべきでないこと、
そうしたことが、事細かに最先端の脳科学と照らし合わせて語られている。
この具体例の多さこそ、この本の大きな特徴であり、読んでいて面白い。

特に新しい研究成果として、最近の脳ブームを検証すると共に、
16歳以上から成人、さらには高齢に至るまでの、脳の状態を説明して、
どのように暮らすことで若さを保てるのかまで、わかりやすく説いている。
またアルツハイマー病などは、やがて完全に治療できる予想だとか、
脳を活性化するクスリがすでに開発され、販売されていることなど、
この本を読むだけで、最近の脳科学、脳医学の概要がわかってくる。
自分がどのように年を取ればいいのか、考える材料にもなるでしょう。
最後に、脳の状態をチェックするテストが付いているのも面白いです。

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