片付かない部屋

今年もあと5日だってえのに、
年末らしいことなんざ何一つやっちゃあいねえ。
なんて開き直ってみてもしゃあがねえんだが、
一人暮らしで訪ねてくる親戚もいねえときちゃあ、
わざわざ飾り付けどころか掃除をする気もない。
まあ小綺麗にしていなくっても死ぬわけじゃなし、
なんとか息してりゃあいずれ晦日も越えていく。
ってなもんで何もしないで日が過ぎる。

なんて口調で書いてんだって?
いや実は高岡市立図書館で落語のCDをめっけて、
何枚か借りてきて聞いてみるってえと面白い。
この秋には日本文化だ朗読だとか言っちゃって、
いろんなところに出入りしてみたものの、
いまいち面白味に欠けるなあって思っていたんさ。
仕舞いにゃあ文楽だの謡曲だのまで足突っ込んで、
ますます何がなにやらわかんなくなってきて、
もちっと気楽に楽しめないのかと思ったら、
あるじゃないか落語ってものがさあ。

おっと落語ならなんでもいいたあ言えねえ。
誰が良くないたあ言わないが志ん朝なら面白い。
なんだろうねこの面白さはテンポの良さで、
こっちが考えるより一歩先にしゃべってやがる。
頭ん中で情景を描いているうちに次になり、
語り口のやりとりに気が付くと引き込まれてる。
なあるほどこれならお足を払って聞きにも行く。
新宿の寄席に何度か行ったことはあるが、
やっぱ名人と言われる人の話は違うもんだ。

そんなこと言って日を過ごしていりゃあ、
家の中なんざどこも片付くはずもないもんさ。
聞きながらでもちったあ手も動かせばいいものを、
さて何かしなければと思うと掃除でもなく、
年末年始は図書館も休むだろうから今のうちに、
もう一度本を借りに行きたいものだと算段する。
なんだかだ言い訳して日を凌いでいりゃあ、
やがて新年も向こうからやってくるはず。

それでもおあとはよろしいような・・・