「世界から貧しさをなくす30の方法」

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今の世界にはいくつかの大きな問題があります。
それはほぼ、最近50年間に人間が作り出した問題で、
過剰な開発と金融経済による負の遺産とも言えるでしょう。
世界の問題だなんて、あまりにも大きすぎて、
無力な一市民の自分には関係のない話だと思うなら、
それは無意識の犯罪行為だと言うしかありません。

だけどこの問題はとてもデリケートで難しく、
本当の実体を知ることは容易なことではないですし、
そのための学習は、学校で教えてくれるわけではない?
いえいえ、最近はそうした学問も始まってきているんです。
千葉大学大学院での公共研究センターなどはその例でしょう。
さらに、わかりやすい本も出版されるようになりました。
それがこの「世界から貧しさをなくす30の方法」です。

144頁の小さな本で、詳しいことは書かれていません。
それでも、最低限知っておくべき世界経済の実体、
特に日本が世界で何をしているのかは書かれています。
さらに、それをどのように変えればいいかも書かれている。
要点を短い30の文章に整理されていますが、
その中でも4つの文章を皆さんに読んでいただきたい。
僕なりの解釈で、ここに簡単に紹介しておきましょう。

(09)おばさんが元気なタイの朝市/清水俊弘
日本国際ボランティアセンター事務局長の清水さんが、
長年の経験から、援助の在り方を正そうとする話し。
「彼らに寄り添い、同じ目線で問題を捉え、同じ問題意識を
持っている人々を繋ぎ、ともに解決策を考えることです」
依存体質ではない、自立に対する手助けを説いています。

(13)貧困を構造から解決する3つの処方箋/上村雄彦
個人的にも信頼する千葉大学院公共研究センターの上村さんが、
貧困を作り出す問題点を整理した上で、解決策を示しています。
その1:自然農・無農薬・地産池消などによる自給自足を目指す。
その2:スクリーニングによって企業に社会的責任を果たさせる。
その3:トービン税・株取引税・国際炭素税などの国際課税をする。

(27)彼らの資源を奪わずに暮らすシンプルライフを/葛葉むつみ
あたりまえのように大量の資源や商品を輸出入する生活を戒め、
人が生きていく地域ごとに、そこにあるものを活かして生きる。
さらには、顔の見える繋がりの中で生きることの安心感を説いて、
「疑問を持たずに普通の食事を続け、年に一度のアースデー人権デー
にだけグリーンでピースな世界を、と叫ぶのは苦しい」と結んでいます。

(30)ぼくらの足場を強くすることで彼らの生活を支えていく/田中優
森の原住民と現代都会人の生活を比べると、原住民の方が活き活きとして、
都会人の方が疲れているように見えるのはどうしてなのか?
「自立した生活は自らすることですから楽しいものです。ぼくらは
苦しみに眉間にしわを寄せて暮らすのではなく、楽しみながら自分の
足場を固めていくことで今の状況から脱していきましょう」と呼びかけます。

もちろん、ここに紹介した4つの文の他にも、大勢の実践者たち、
「ラダック」を日本に紹介している鎌田陽司さんや、
先日高岡でお話会をしていただいた小原美由紀さんなど、
それぞれの体験を踏まえた、わかりやすい話が30詰まっています。
全部を読めば、今の社会にどうして貧富の差が拡大しているのかがわかる。
この本はあくまでも、金融経済が持つ問題の全体を示すものではないけど、
今普通の日本人の生活が引き起こしている世界の貧困に対して、
僕ら一人一人が実践できる解決への道標を示しているのはたしかでしょう。

興味を持っていただけたら、ぜひ全体を一読していただきたいものです。
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何かもう一冊、合わせて購入されることをお勧めします。