不思議の国の未来

昨夜僕は眠れないままに朝のニュースを聞いて、
ようやく眠って目が覚めたのは10時頃だった。
重い体をごまかしながらネットでの作業をこなし、
昨夜食べたご飯の残りを温めて簡単な食事をした。
それから1時間かけて高岡のウイングウイングへ、
男女平等を推進する市民活動グループに顔を出す。
そしていつものようにこの国の不思議を思い知る。

家の中で女や子どもがいかに虐げられていようと、
それはプライバシーのことだからと踏み込まない。
会社の中でいかに反社会的なことが行われようと、
それも社内のことだからと外では口をつぐむ人々。
さらには行政の省庁でいかに不正が行われても、
お家の事情は外部に漏らさないのが慣例となる。
そこを踏み出せば社会的保護を失ってしまう個人。
そこには憲法で保証された基本的人権はないのだ。

打合せが終わって家路についた僕の車の前方西に、
黒い雲の塊が広がって大きな稲光が横切っていく。
このところ休み無く続くようになった異常気象で、
世界中に記録的な豪雨や嵐のニュースが乱れ飛ぶ。
この日ラジオから聞こえたのは国会からの中継で、
教育基本法改正案が強行可決されたとの報告だ。
家に帰ってテレビを見るとプロ野球界のニュース。
和歌山県知事逮捕や日清食品と明星が提携したと。

圧力釜で野菜たっぷりにくるんだイワシを煮付け、
人参となめ茸の味噌汁と赤米入り玄米食を食べる。
片付けて毛布にくるまりソファーに座っていたら、
そのまま何も考えられずしばらく眠ってしまった。
目が覚めたら「14才の母」が始まったところ。
主人公は生まれてくる命にすべてを掛けて前進する。
すると家族とは何か、学校とは何か、仕事とは何か、
人権とは、いじめとは、命とは何かが見えてくる。

脚本の井上由美子さんがどんな人かは知らないけど、
この国には千年の昔から優れた表現を持つ文化がある。
僕が自分の何者かに気付かされたのも学校教育ではない。
今ある政治や経済社会には何も期待できないとしても、
こうした表現活動をする人が居続ける限り希望はある。
最初からそれを頼みに自分の生き方を決めたことを、
今夜は改めて思い出しながらこの記事を書いている。

さあ、またもう少し、歩いてみようか。