グラミン銀行のマイクロクレジット

今年(2006年)のノーベル平和賞が発表されました。
バングラデシュの農村で女性に無担保融資をするグラミン銀行と、
同銀行を設立したムハマド・ユヌス総裁(66)が受賞です。
グラミン銀行のことは、お金への疑問から地域通貨を勉強する中で、
利益追求ばかりが銀行の役割ではない具体例として知りました。
貧困を救うのは、慈善や大規模な公共事業などではなくて、
本当に苦しんでいる個々人をなるべく小さなレベルで助けること。
すなわち控えめに自立を手助けする事にほかなりません。

このところ、世界の貧困を解消しないことには平和は訪れない、
と考えるところまでは共通認識が出来上がってきていますが、
どのように貧困を無くすかは必ずしも有効手段は見つかっていない。
行政が試算する必要な金額は、現実感のない数字だけが飛び交って、
自分さえよければ他人や他国はどうなってもよい人が増えている?
格差社会の是正を唱える人にさえ有効な道筋が見えていない?
だけど本当にそんな大金がないと解決しない問題なのだろうか?
いつものことだけど、政府マスコミの発表は胡散臭い。

そんな疑問に答えてくれるたが、今回のノーベル平和賞でした。
「永続する平和は人口の大半が貧困から抜け出す方途を
見いだせない限り達成されない」というのが受賞の理由です。
そしてこのグラミン銀行が行っているマイクロクレジットとは、
大きな公共事業や大規模資金による大事業を優先するのではなく、
農村に暮らす女性に対して、日々の暮らしを維持するための、
生活の基盤を整えるための無担保融資をする銀行なのです。
言い換えれば、個々人の自立をサポートするための銀行です。

大事業や大きな資本が必要なときも無いわけではありません。
だけど昨今の世界で行われている経済のグローバル化は、
一部の人を金持ちにするだけで、大多数の人を貧困化させている。
そうした規模の過剰に飲み込まれないで個々人の尊厳と生活を守る、
これが世界を貧困と紛争から守る有効な方法だと認められたわけです。
今回はバングラディッシュという貧しい国での活動ですが、
基本的人権を大切にして世界を豊かにしようとする方向性において、
日本でも考えられるべき大切な要素を含んでいると思うのです。