ノルウェーの若い女性

この頃の社会福祉に対する意見を見ていると、
北欧型のノルウェーに学ぼうとする大きな流れがある。
少子高齢化の問題ばかりか男女平等においても、
BEM(ジェンダー・エンパワーメント)指数を出して、
(GEM=女性が政治及び経済活動に参加し、
 意思決定に参加できているかどうかを測るもの)
日本は80カ国中43位だと嘆いている。

BEMもHDI人間開発指数)も第一位はノルウェー
ノルウェーが優れた福祉国家であることを示す数字は多い。
だけど統計や数字には、いつもある種の指向が働いている。
数字自体に意思はなくても、統計には意向がある。
ノルウェーではたしてどれほどの人々が幸せなのか、
BEMやHDIの数字だけで判断するのは怖い。
実際にノルウェーの人たちはどう思っているのだろうか?

そんなことを考えていたら、面白い番組があった。
東京の安宿にたむろする外国人旅行者を取材したもので、
ノルウェー若い女性がインタビューに答えていた。
どうして東京へ来るのかの答えだったと思うけど、
ノルウェーには東京のような自由に暮らせる都会がない、
 いつも周囲から見られているようで息苦しい」と言う。
これは日本の田舎の事情をそのまま語っているのと同じだ。

若い女性が逃げ出したくなるような恵まれた福祉国家
こんな言い回しが出来るのがノルウェーかもしれない。
あるいは高齢者の自殺率の高さも注目に値する。
そうすると、僕らはノルウェーを目指していいのかどうか?
きっとどのような体制にも福祉にも一長一短があって、
北欧型の福祉国家になれば人が幸せになるとは限らない。
大切なのは、人々の自由度を守ることだと僕は思う。