「WALKABOUT 美しき冒険旅行」

1971年の制作だから、35年前の作品なのに、
今見ても年代を超えた魅力のある映画だった。
実はもうだいぶ昔に東京で予告編を見て、
是非みたいと思いながらずっと忘れてしまっていた。
それが TUTAYAの100円サービスディで、
普段は見ない旧作の棚をチェックしていて見つけた。

同時に借りたのがSF「GOD*DIVA」だったから、
90年後の世界から40年前の世界に戻り、
さらにこの映画に出てくる姉弟の二人は、
昔ながらのアボリジニーの生活をするので、
さらに遡って100年前と変わらない生活をする。
映画の世界で百年前から百年後までを見渡すのだ。

片や木製の槍とブーメランだけが道具の世界で、
もう片方は医療や交通の発達した管理社会。
どちらがいいかなんて知ったことではないとしても、
両方に共通して、もっとも美しく価値あるものは、
子を宿す力のある若い女性だってところが面白かった。
人類が何百年、何千年続こうと、女神こそ人類の中心?

実際にこの二つの映画で美しさを競うとすれば、
高度に文明化された都市機能の風景よりも、
大自然が見せる刻々と変わる風景の方が美しい。
「最高の美女」と言葉で賞賛される女神 DIVAよりも、
何も言わず澄み切った泉の中で泳ぐ裸体の娘が美しい。
僕らはこの美しさのために生きているようなものだろう。

それにしても、今ある町の風景を見渡せば、
美しいものは、すでにすっかり姿を潜めている。
これが進歩だなんて、僕は信じられない。
女性の肌は、どれだけ美しくなったのか・・・