「仕事のくだらなさとの戦い」

いい本に出会いました。
「ぴーす フィルム フェスタ in 高岡」で、
会場で販売する関連本のリストアップをしていたときに、
軍縮地球市民No2」に広告されていた本が気になって、
リストに加えておいたら文苑堂さんが用意したものです。

書名は「仕事のくだらなさとの戦い」と言うもので、
帯には「くだらない働きかた、くだらない働かされかた、
くだらない人生からの訣別宣言!」と書いてある。
パラパラと立ち読みしただけで、面白そうだとわかる。
そこで数ある関連本の中から、この本だけを買い求めました。
そして書いてある内容を読み進んでいくと、
まさしく僕が思っていた通りのことが書いてある。

現代の仕事がなぜ価値を失ってつまらなくなっているのか?
そこには自分で工夫する自由裁量の余地がなくなって、
少しでも合理的に生産性を上げるだけの歯車になっている。
この現実が労働をつまらないものにして、若者を遠ざける。
あるいは落ちこぼれを恐れて過重な労働を引き受けてしまう。
その過酷さは、中性の農奴よりも劣悪な環境と言えるので、
これを避けようとするニートが増えるのは当然なのだ。

さらにこの本の著者である佐藤和夫氏は話を進め、
その背景のある、労働を無条件で善とする考え方が、
お金経済の無条件な是認によって他のものを見えなくし、
もっと豊かな働き方があるのに気付かないでいると指摘する。
こうしたお金経済への無条件な従属は必ずしも必然ではなく、
世界の多くの国ではそんなに働かなくても豊かに暮らしている。
その豊かさは、生産物の量の多さによるのではなく、
生活する人々のコミュニケーションの豊かさによっている。

こう指摘をした上で、作者は新しい労働の在り方を提唱する。
それは金儲け主義と管理主義の社会生活に訣別して、
仲間に必要とされ、コミュニケーション出来る労働として、
それぞれの人が新たに始めればいいのだと提唱している。
広く世界に目を向ければ、それはもう始まっているのだと、
数多くの実例を示しているのも心強い。