「大いなる休暇」

去年東京で見たいと思いながら見れなかった映画の一本。
同じ単館ロードショーでも、有名どころとは無関係だから、
富山で上映されることはまずありえない作品と言える。
「ザ・コーポレーション」のように上映会をするほどでもなく、
予想通り、ビデオを借りてみる程度がお楽しみの映画だった。

監督、出演者共に、日本ではほとんど知られていない人たちで、
物語は、過疎化の進んだ小さな島に工場を誘致するため、
誘致条件の医者に住んでもらうために四苦八苦する物語。
島民たちのどこか滑稽で、だけど味わいのある人間味が面白い。
だけど少々物足りなく、テレビドラマ的な薄っぺらさも感じた。

まずは一ヶ月間をテスト期間として医者が来るのだけど、
医者に島を気に入ってもらうため、島民が涙ぐましい努力をする。
医者の電話を盗聴してまで、医者の好みを探り出して対応したり、
島を好きになってもらうためには、お金まで落としておく、
そんな中で、ひとりマイペースな女性の存在も魅力がある。

最後にはどんでん返しがあって、医者に気に入ってもらい、
工場誘致にも成功して、ハッピーエンドになる物語だけど、
正直言って、目の付け所がいい割には生かし切れていない作品だ。
小さな子どもから若い女性や家族連れまで登場しているのだから、
それぞれの人の心まで、もう少し描いてほしかった気がする。