山を歩けば

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連休が終わって温泉も静かになったようなので、
午後から久しぶりに温泉の湯に浸かりに行った。
山間の湖を見下ろす露天風呂が気持ちいい温泉に、
入ろうと車を停めたら、近くにきれいな花の木が見えた。
最初は山桜かと思ったけど、少し違う感じがする。
よくわからないまま、家に帰って調べてみたら、
はな‐ずおう【花蘇芳】と呼ばれる花のようだった。
中国原産で、おおかた人が植えたもののようだ。

花に見とれてあとは、ゆっくり温泉の湯に浸かる。
露天風呂から見える湖の対岸には、新緑が萌えて、
あの大雪も今ではすっかり消えてしまっている。
日本の四季の移ろいは、何もかもを押し流す。
何でも水に流してしまおうとする日本人の心は、
こうした日本の自然から身に付けてきたものだろう。
執着してみたところで、人は自然を押し留められない。
わかっているから、自然のままに生きようとしてきた。

頭のてっぺんまで湯に浸かって、体を洗い流して、
人影の少ない広々とした休憩所で夏蜜柑を一個食べる。
今は農繁期で、平日に温泉でゆっくりする人は少ない。
いつのまにかこの国は、すっかり豊かさを通り越して、
自分を失った貧しい人が多くなっているので、
この気持ちのいい五月晴れに山間の温泉で湯に浸かる、
贅沢が出来る人もすっかり少なくなったのだろう。
子どもが少なくなったと言うより国が老化を始めている。